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日本ケミファの早期退職に感じた違和感とは?

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こんにちは。

現役MRのリョウタです。

日本ケミファの早期退職が応募人数に達したため、締め切られました。

応募者が予定を上回ったため、当初の募集期間よりも早く締め切ったとのことです。

報道を見た方はご存知かもしれませんが、私はこの発表にかなりの違和感を感じました。

その違和感についてと、これからの予想について共有していきたいと思います。

日本ケミファの早期退職

日本ケミファは今年の7月22日に営業部門を中心に30名程度の早期退職を募集することを発表していました。

日本ケミファの早期退職については「日本ケミファもリストラ決行!今年もMRのリストラ祭は続く」で詳しく書いていますので、よろしければこちらもご覧ください。

私は、外資系製薬メーカーや内資系でも大手が行っている早期退職と今回の日本ケミファの早期退職は少し種類が違うと思います。

外資系や国内大手メーカーが早期退職を行っている理由は主に主力のブロックバスターのパテントが切れたり、合併などで人員が過剰になったりしていることが理由のことが多いと思います。

しかし今回の日本ケミファの早期退職はまともに業績不振が理由になっており、これは今までの製薬メーカーではあまりなかったことです。

上記の記事でも取り上げていますが、日本ケミファの直近5年間の売上はほとんど右肩下がりで下がり続けています。

営業利益や営業利益率はさらに凄まじい勢いで減少し続けています。

後発医薬品市場はこの5年間で約1.5倍になっているにもかかわらず、日本ケミファはこれほどの減収減益を続けてきており、市場競争に完全に敗北していると言わざるを得ない惨状です。

むしろ早期退職の人数は30名でいいのか?と思うくらいですが、結果的には早期に応募者が42名に達したため、8月末までの募集期間を8月11日で締め切ったようです。

日本ケミファの早期退職に感じた違和感

たしかに日本ケミファは早期退職を実施し、早期に募集人数が応募したことにより予定よりも早く募集を締め切りました。

それは早期退職を納得して受け入れた社員が多かったということですから、それで良かったのかもしれません。

しかし、私は日本ケミファの早期退職の報道を見て少し違和感を感じたことがあります。

それは、「割増退職金に計上予定の費用が少なすぎる」ということです。

報道によると、日本ケミファは割増退職金などの費用として1億3000万円程度を見込んでいると言われています。

この金額を見た瞬間、「・・・ん!?なんか少なすぎじゃない?」と思ったのでちょっと計算してみました。

今回、早期退職に応募したのは42名だったとのことです。

全員が受理されて早期退職することが決定したのかどうかまではわかりませんが、仮に早期退職者が42名だったとして、割増退職金の費用が1億3000万ですので、1人あたりの費用としては、

1億3000万円 ÷ 42名 ≒ 309万5千円

1人あたりにかかった割増退職金の費用は309万5千円でした。

対象になる年齢や勤続年数などは公表されていませんでしたが、一定年が経過したMRが対象とされていますので、そこそこ勤続年数が経っている社員が対象になっているはずです。

にもかかわらず上乗せが309.5万円というのはどういうことなんでしょうか。

ちなみに、少し前のアステラス製薬の早期退職を思い出してみたいと思います。

2018年5月に発表したアステラス製薬の早期退職では600名を対象に募集し、同時に割増退職金等の費用として100億円以上を見込んでいると発表されました。

この早期退職は結果的には700名が応募したことが後に発表されていますが、計画として600名分の割増退職金支払いで100億円以上を見込んでいたとすれば、

100億円 ÷ 600名 ≒ 1660万円

1人当たりおよそ1700万円近くの割増退職金が見込まれています。

年齢の制限などについて詳細はわかりませんが、30代のような若い社員だと割増金額はそこまで多くないでしょうし、逆に50代以上のベテラン社員になるとこれよりも多い金額の割増金額になると思います。

そう考えるとある程度妥当な金額が表面上の計算で出てくるのですが、日本ケミファの1人あたり309.5万円というのは、だいたい合っているのでしょうか・・・?

ベテランになって、300万円程度上乗せされたくらいで早期退職に応募するんでしょうかね?

そりゃあ、日本ケミファとアステラス製薬では社員の年収はけっこう違うでしょうけど、あまりにも低すぎて違和感を覚えたという話です。

内資系中堅の会社の早期退職って・・・

大日本住友製薬の多田社長が今年の5月に日刊薬業のインタビューで、人員削減に関してこのように答えていたのが印象に残っています。

「企業に経済的な余力がある時でなければ、辞めていく従業員に対して十分な手当ができない。辞めた従業員が数年間は食べていけるようにするためには、大変な額の一時金が要る。企業が追い込まれ、利益を出せなくなってからではそれを手当できない。それでは、退職する従業員が困窮する。」

勝手な想像になってしまうかもしれませんが、日本ケミファは早期退職の実施が遅すぎたのではないかと思っています。

前述した通り日本ケミファは売上も利益も5年間で右肩下がりであり、業績はかなり厳しい状況です。

なので、余力がある状態のアステラス製薬や大日本住友製薬のような大手とは比べられないような割増退職金しか支払えない台所事情だったのだと想像します。

今後日本人にとって必要な医薬品というのは、画期的な抗がん剤を中心に難病治療薬と希少疾病の医薬品です。

これまで膨大なデータが蓄積されてきたプライマリー薬はもう後発品で充分になります。

そうすると、そういった画期的治療薬を開発できるメーカーの成長は続きますが、開発できないメーカーは国内の医薬品市場の縮小に加えて医療費抑制政策の継続によってますます苦しくなっていく可能性が高まります。

勝敗がよりハッキリとしていくマーケットの中で、敗色濃厚なのがわかってから早期退職を実施するメーカーがこれからも出てくると思いますが、そのメーカーでは日本ケミファのように割増退職金も雀の涙のような金額になりかねないのではないかと思います。

アステラス製薬や中外製薬のような高額の割増退職金を思い描いている内資系中堅のMRがもしもいたら、もしも実際に早期退職が発表されたとしても思った金額にならない可能性が高いことも考えておいた方が良いと思いました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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