こんにちは。
現役MRのリョウタです。
日本ケミファがMRのリストラを行うことを発表しましたね。
日本の製薬業界では定番の流れで「外資系⇒国内大手⇒国内中堅」という順番がありますが、リストラについてもこの順番で進んできておりようやく内資系中堅メーカーのリストラの火ぶたが切って落とされようとしています。
内資系の会社は本当に切羽詰まるまでリストラをしないため社員に優しいイメージがありますが、他に手がなくなってから実施するため、必要になったときには酷いリストラをする傾向があります。
2010年頃の武田薬品の研究開発社員に対するリストラや、2015年に田辺三菱製薬で行われたリストラなどが記憶に新しいところです。
MRの減少が進んでいくことは残念ですが、企業の経営が切羽詰まる前にこうして希望退職という形で実施してくれる会社はまだ親切だと言えるのではないでしょうか。
日本ケミファが業績低迷でリストラ

日本ケミファが7月22日の取締役会でMRのリストラを行うことを決定しました。
退職日は2020年の9月末で、30名程度のMRを削減する予定とのことです。
また、営業拠点となる支店の数を8支店から7支店へ、営業所の数も現状の22営業所から18支店に削減することも合わせて発表しています。
MR数は250名程度ですから、30名削減すると200名強になる予定です。
会社の発表ではグループの構造改革のためのリストラだと言っていますが、業績の推移を見るとこれはどう考えても業績悪化による経費削減なのかなという印象です。
下のグラフは日本ケミファの過去5年間の業績推移です。
売上高が減っているというのは、市場全体が縮小しているか、競合他社にシェアを奪われているということが主な原因になってくると思います。
この5年間でジェネリック医薬品の市場は1.5倍近くになっており、顕著に市場が拡大しているにもかかわらず売上高が減少しているのは、競争に負けているということになるかと思います。
さらに酷いのが利益と利益率です。
営業利益は売上高よりも顕著に減少していますし、昨年の営業利益率はもはや製薬企業のものとは思えないほどです。
国内大手は平均すると10%~20%の営業利益がありますし、昨年でいうと同業他社の沢井製薬は14.7%、東和薬品は14.6%です。
これは、競争激化によって他社よりも製品を売るためのコストを増やしたにもかかわらず、それでも競争に負けているという悲惨な結果になっていることが予想されます。
AG(オーソライズド・ジェネリック)が台頭してきている中、ジェネリック専業メーカーは大きく勝ち組と負け組に分かれはじめているということが言えます。
それにともなって株価も2015年以降、3分の1以下になっています。
2008年のリーマンショック時と同水準の価格まで下落。
同時期の日経平均株価が上昇している中でこの株価低迷ですので、将来に対する投資家の評価も低いことがわかります。
アジアを中心とした海外展開についても10年近く前から模索しており、2015年にベトナムに工場を新設して5~6品目を販売していますが、業績への貢献はまだ低いのが現状です。
この数年では最も市場が拡大している後発品市場において、国内で競争に負けて、かつ海外展開も遅れてしまっていては残るはコスト削減しか打つ手はありません。
経営判断が遅れると全てが上手くいかなくなるという典型的な例ではないでしょうか。
まとめ

製薬会社で5年間利益が下がりっぱなしというのはなかなか珍しいのではないでしょうか。
しかし今後は勝ち組と負け組がよりはっきりするようになって来ることが予想されますので、負け組の会社で国内企業のMRリストラが増えてくる可能性が高いですね。
武田薬品がリストラに踏み切ったことによって、他の内資系メーカーもリストラをやりやすくなった可能性もあります。
ノバルティスファーマのように支店や営業所をなくしてしまう会社も増えてくると思います。
外資系や内資系でも大手は業績悪化が続く前にリストラをしますので、致命傷にならずに済みますが内資系中堅以下の企業はこの状況でも未だにほとんどリストラしていません。
内資系中堅の中でも日本新薬のように業績好調なメーカーもあり、当面コスト削減する必要がない会社も中にはありますが、将来を考えたら今のタイミングでコスト削減をする必要がある会社はそこそこあるはずです。
それを考えると、国内のMRリストラは今後もまだまだ続いていく可能性が高いんじゃないかと思いますが、どうなるでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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