どの会社も景気が良かった時代は終わり、製薬会社の中でも利益成長に格差が出てきています。
この格差は今後ますます拡がり、高利益を維持して社員の給与水準を維持することができる会社とコストカットしなければならない会社との差は大きくなっていく一方になることが予想されます。
このまま泥船に乗り続けるか、頑丈な船に乗り換えるかの岐路に立たされているのです。
内資系中堅以下のMRは転職すべし!
冒頭で「泥船」と表現しましたが、泥船になる可能性が最も高いのは内資系中堅以下の企業です。
理由は内資中堅製薬会社のMRは危ない!?でもご紹介しましたので是非ご一読いただけると幸いですが、国家財政を圧迫する医療費の抑制政策と新薬開発費の巨額化は今後も加速していくことは明白です。
今まで高齢化社会の恩恵を受けて運よく経営を続けて来られた内資系中堅以下の企業が今後も同じ経営手法で存続していくことができるとは到底思えません。
単独で業績を伸ばしていくことができず株価が低迷して安くなっても、有望な治療薬の開発ができない会社に欧米の企業は興味がありません。
生き残る道はジェネリックしかありませんが、参入の障壁が低いジェネリックも競争が激化しており、国内外の大手企業も参入しているため中堅以下にはいばらの道となっています。
三洋やシャープのように海外進出を進める新興国企業(中国やインドや韓国)に買収されることで企業として生き残ることができるかもしれませんが、内資系中堅以下の企業には元々国有だった企業や同族企業が結構ありますので、それを受け入れることができない会社は衰退あるのみです。
もしそうだとしても今すぐどうこうなるような話ではないだろうと思われるかもしれませんが、技術革新によって経済の流れも非常に速くなっているため、転換期の現在から10年後はどうなっているか読めない時代です。
年齢が若いMRほど、長期的に成長していく会社への転職を念頭に置いて情報収集を続けていくべきです。
年収でも格差が拡がっていく
今までは会社間で多少の差はありますが、製薬会社はどこも給与水準が高く手厚い福利厚生がありました。
それが、近年では大手を中心に大規模リストラを敢行する会社が出てきており、外資系企業では家族手当、借り上げ社宅、自動車マイカー制度などを廃止する会社が出てきています。
大手の大企業でも次の経営環境を見据えて積極的なコストカットを進めているのに、逆に中堅以下の企業で目立った動きが少ないように感じるのは私だけでしょうか。
開発資金の少ない中堅以下の企業ほど固定費を削って利益を確保し、次の投資に向けていかなければならないはずなのに、多くの内資系企業はとてものんびりしている印象を受けます。
もしも本当にのんびりしていて業界のビジネスモデル転換期を感じていないだけであれば最悪の場合、将来的に倒産もあり得なくはない会社さえ見受けられます。
そうなる前に、まずは業績が徐々に先細りしていき、社員のボーナスや昇給が減らされていきます。
内資系だと労働組合が強力で社員への待遇を悪くすることに及び腰の会社もありますので、ここ数年業績がイマイチの割りに給料や待遇は悪くないという会社は経営が悪化してから突然大幅に待遇が悪くなるかもしれません。
今まで開発に力を入れてこなかった会社が突然画期的な新薬候補を探し出せるはずはありませんので、経営を維持するためには国内外の新薬を導入して販売専門の会社にならざるを得ません。
そうなると当然、利益率は低くなっていきますので社員の給与水準は下がっていきます。
多かれ少なかれ今後は開発力のない医薬品販売会社と、いくつもの有望な新薬候補を持っていて自社販売も他社導出も可能な状況にある開発型の会社との待遇格差が拡がっていくのは当然の流れなのです。
今のアットホームな社風は長く続かない
「アットホームな社風で社員同士が和気あいあいとしているところが良いため、年収は他社よりも多少低くても転職は考えられない」というのは、内資系企業のMRの方と転職の話になったときによくお聞きします。
ただし、これに関しても今の時代においては転職しない方が良い理由にはならないです。
もちろん、私も休日に営業所メンバーで遊びに行くような社員同士仲の良い会社で働いたこともありますので、働くうえで年収に代えられない要素もあるということはよく理解しているつもりです。
しかしこの先、そういった共産主義的な会社が長く続かない可能性は極めて高いため、MRとしての長期的なキャリアプランがあるのであれば一方で冷静な視点を持つ必要があることをお伝えしたいのです。
数年後、もしも所属する会社が倒産して会社更生法を適用されたらもちろん経営陣は総入れ替えになりますし、外資系企業に買収されたとしても多くの場合は数年以内に外国人社長に交代します。
欧米や新興国まで含めても、日本ほど社員とその家族まで大切にする会社はありません。
終身雇用や年功序列の雇用制度が崩壊した今、アットホームな社風は過去の産物だと割り切ることが自身のキャリアアップを真剣に考えるきっかけになるのではないでしょうか。
具体的な会社は・・・?
どの会社がどうなるかわからない時代ですので具体的な会社名を挙げても単なる予想になってしまいますが、やはりグローバルで販売することができる医薬品を開発することができる会社は今後も成長していける可能性があります。
反対に、国内外で評価される自社開発品がほとんどないため海外比率が低く、導入品でなんとか食いつないでいるような、国内のみでしかビジネスができない会社は将来的に怪しいです。
一度、所属する会社の開発品と海外比率は確認してみると良いかも知れませんね。
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