こんにちは。
現役MRのリョウタです。
サラリーマンなら誰もが意識しているのが年収1,000万円ですね。
”一本”とか”8桁”とかという言葉が使われたりしています。
でも実際、年収1,000万円と700万円では手元に入ってくる金額はどれだけ違うのでしょうか。
1,000万円ってキリが良い数字ですし一桁増えるからなんとなく憧れたりしますが、日本でそれを目指すメリットはあるのでしょうか。
今回はこの件について記事にしてみたいと思います。
目次
700万円と1,000万円の手取り差は190万円
年収700万円と1,000万円では、サラリーマンのイメージとしてはかなりレベルが違う印象を持つ人も多いのではないかと思います。
税込み年収では年間300万円も収入に差があるのですが、手取りにするとどうなんでしょうか。
税金や控除はその人が住む自治体や家族構成、所属する会社、加入する保険などによって全然変わってきますので一概には言えませんが、おおよそのところで比較してみたいと思います。
【年収700万円の手取り金額】
530万円~570万円
【年収1,000万円の手取り金額】
710万円~770万円
ざっくりではありますが、年収700万円と年収1,000万円の手取りの差は180万円~200万円です。
間を取ると190万円になり、税込み年収で300万円の差からかなり縮まっています。
年収を300万円上げるのはMRでも大変なことですが、その対価としては190万円にしかならないということです。
源泉徴収票の見方
日本の税制って仕組みが複雑ですから、源泉徴収票をもらってもパッと見では何の数字なのか分かりにくいですよね。
分かるのは「支払金額」と各種保険料の金額くらいです。
中学校でも高校でも教えてくれませんでしたし、源泉徴収票を渡している会社でさえも教えてくれることはありません。
ここでは、源泉徴収票に興味がなかった方のために、重要な項目の意味について簡単にご紹介します。
下記の4つの項目が分かれば源泉徴収票はほぼ理解できると思います。
①支払金額
「支払い金額」はいわゆる、税込み年収ですよね。
課税対象になった収入の合計です。
ここは問題ないですね。
②給与所得控除後の金額
給与所得控除後の金額とは、その名のとおり「給与所得控除」の金額を差し引いた後の金額ということです。
給与所得控除はサラリーマンの経費分という意味合いになり、年収に応じて収入から引いてもらえる金額ということです。
引いてもらえる金額は下記の表で計算します。
【令和2年の給与所得控除額】
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 55万円に満たない場合は55万円 |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
660万円超850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円(上限) |
年収が上がるにつれて給与所得控除額も増えていくのですが、税込み年収が850万円以上は一律上限の195万円になってしまいます。
ここでも隠れた増税ですね。
①の「支払金額」からこの給与所得控除を引いた金額が給与所得控除後の金額です。
③所得控除の額の合計額
なんとも分かりにくい日本語を使っていますが、②の給与所得控除以外の控除を合計した金額がここに記載されています。
たとえば下記のような控除です。
・健康保険料
・厚生年金保険料
・企業共済掛金
・基礎控除
・医療費控除
・寄付金控除
・扶養控除
・配偶者控除
④源泉徴収税額
この金額が年間に納める所得税の金額です。
この源泉徴収税額は下記の計算式で求めることができます。
②給与所得控除後の金額 × ③所得控除の額の合計額 × 所得税率 × 102.1%(復興特別税)
所得税率は②から③を引いた金額、つまり課税所得の金額によって決まります。
各金額にあてはまる税率は以下になります。
【所得税率換算表】
②から③を引いた金額が900万円を超えると税率が一気に上がりますので、初めて超えた時には驚くかもしれませんね。
年収は800万円くらいで良い!?
以前に下の記事でも触れましたが、日本のサラリーマンで年収1,000万円以上もらっている人は全体の約5%で、人数にすると約300万人ほどです。
MRをやっていると年収1,000万円の人はゴロゴロいますが、全体でみると100人のうち5人ですので非常に少ないです。
それだけに年収1,000万円以上もらっていると調子に乗りがちですが、実は税金もたくさん課されるし、子供の医療費や児童手当、自治体のサービスなどを受けられないなど割に合わないことも多くあります。
実際、2015年にノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のAngus Deaton(アンガス・ディートン)教授らは、2008年~2009年にかけて実施した調査によれば、年収7.5万ドル(約800万円)を超えるとそれ以降は年収と幸福度の相関性がなくなる傾向がありました。
これは日本でも同様の結果で、内閣府が2019年に実施した「満足度・生活の質に関する調査(第1次報告書)」であり、年収3,000万円を超えると幸福度は低下していきなんと1億円以上の人は700万円~1,000万円の人よりも幸福度が低かったという結果でした。
なぜこうなるかというと、年収は低すぎると生活費を毎月心配しなければならないですが、700万円以上あるとその心配をすることはほとんどなくなります。
しかし、年収が高くなると今度はいきなり収入がゼロになるかもしれないという大きなプレッシャーを受ける仕事が多くなるため、このような幸福度カーブを描くと言われています。
日本では先ほど述べたとおり、税負担が重くなったり行政サービスを受けられなくなったりしますので、年収に相関して幸福度が上がっていくということはないんでしょうね。
それらを考慮すると、年収は800万円~900万円くらいが最も良いような気がします。
このくらいの金額が最もバランスのいい税率ですし、税制や行政のサービスをほぼ受けることができますのでコスパも最高です。
全員が一律に出世を目指さなければならない風潮も徐々に薄れてきていますし、すでに年収800万円台くらいの方は方の力を抜くのもいいかもしれませんよ。
まとめ
年収1,000万円といっても700万円と比べて190万円しか手取りが変わりませんし、税制や行政サービスで不遇を受けるのでなんか損した気分になります。
年収700万円~900万円くらいの方で出世欲が高くない方は今後の仕事について考えてみても良い頃なのかもしれません。
逆に、年収600万円代までの方はガシガシ頑張るのも良いですし、700万円台にアップする案件を狙って転職活動をするのも良いと思います。
参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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