MRが転職するのは珍しくなくなってきましたが、転職をしない方が退職金を満額もらえるので、生涯年収でみると有利になるというふうに考えてせっかくのキャリアアップのチャンスに躊躇する人がいます。
たしかに、多くの会社の退職金には「勤続年数」が計算式に組み入れられているため、長年勤めてればいるほどもらえる退職金は多くなります。
では、本当に転職することで生涯年収が下がってしまうのでしょうか。
どんな転職なら生涯年収のアップが望めるのかを考えてみたいと思います。
転職しにくいのはどんな人?
日本の会社では、諸外国よりも生涯報酬に占める退職金の割合が高いという特徴があります。
日本の製薬会社の退職金の平均金額は約3200万円だそうです。
上場企業の平均は2350万円ですから、製薬会社は退職金も高いですね。
また、退職金にはいろいろな種類があります。
最近では企業年金である確定拠出型年金制度を導入する会社が増えてきていますが、内資系ではまだ確定給付型年金制度の会社もあります。
大手製薬会社では退職一時金と退職年金を併用している会社もあり、退職時に約3000万円を受け取ってさらに厚生年金とは別に毎月30万円ほど受け取っている人もいるようです。
さらに、内資系企業の退職金には勤続年数が重要な要素になるため、転職をして途中で勤続が途切れることで最終的にもらえる退職金が少なくなることを懸念する人は多いのが現状です。
このようなことから、40歳代でまだ一度も転職をしたことがないMRの方はたしかに転職によって退職金が減ってしまうために転職しにくいと考える人は多いかも知れません。
確定拠出型年金に加入していれば転職しやすい
外資系企業では確定拠出型年金制度が大変普及しており、最近ではほとんどの会社がこれを採用しています。
確定拠出型年金とは、いわゆる「401K」と言われている年金制度で、企業側が掛け金を負担して運用商品は社員が決めます。
もちろん運用によって出た利益は社員に給付されますが、逆に運用損についても社員の自己責任になります。
しかし、401Kではどこの証券会社においても代表的な金融商品をラインナップしており、多くの金融商品では長期で見ると右肩上がりのカーブを描いていることがわかります。
ということは、この制度が導入されている企業で一刻も早く401Kを開始すれば福利効果も味方につけられますし、拠出金の運用によって勤続年数のデメリットを解消できる可能性が高まります。
もちろん金融商品の運用になりますので、大幅な下落には注意する必要がありますが、一定金額の拠出ですので株価低迷時には購入できる量が増えます。
これをドルコスト平均法と言います。
確定型拠出年金制度は一定の金額を長期間にわたって安定性の高い金融商品に投資することができる、とても理にかなった運用手法です。
また、自分で管理しますので状況を見てほぼ定期預金の貯蓄型プランなどにいつでも切り替えることができます。
拠出金には限度額がありますが、確定拠出型年金制度は転職をしても転職先の会社が同制度を採用していれば、前職の拠出金を引き継ぐことができますので、転職による退職金支給額の減額を懸念する必要がありません。
内資系企業でも導入する会社が増えている確定拠出型年金制度に加入していれば、良い案件があればどんどん転職することができるのです。
年収アップすれば退職金など気にする必要がない
転職市場で価値があるMRの方は、現在の年収よりも高い金額を提示してくれる会社があります。
特に近年では、いわゆるスペシャリティ領域の製品担当を募集する際、領域経験者に限定して募集するケースがあり、そのような案件ではとても良い待遇で転職することができます。
MRで年収1000万円は当たり前で、中には1400万円や1600万円という人もいます。
仮に、転職によって年収を100万円/年アップさせたとしたらその後同じように昇給や昇格をしたとしても、単純計算ですが20年で2000万円の収入差がつきます。
退職金の積み立てに固執し過ぎて良い条件の転職に躊躇するのは非常にもったいないです。
バイオファーマの報酬制度
最近の欧米系のバイオファーマでは、RS(Restricted Stock)という株式での報酬が多くの企業で導入されています。
アメリカ系の企業では多くが導入されているそうですが、かんたんに言うと給料の一部を自社株で支給する制度です。
日本企業では社員持ち株会制度などがポピュラーですよね。
持ち株会制度では、もらった給与から天引きで自社株を購入しますが、RSでは基本給とは別に自社株で支給する制度なので少し違います。
一番大きいのは、金額ではなく「株数」で支給されることなんです。
例えば、年間の基本給+賞与が800万円だった場合、多くの内資系企業の場合はこのお金から持ち株会制度で自社株を購入しています。
この人が外資系のバイオファーマに転職した場合、年収の800万円にプラスしてRSが支給されます。
バイオファーマはその時の株価の変動が大きい会社が多いですが、株価が高い会社ではMRでも金額にして年間500万円~600万円分のRSを支給されている人もいるのです。
だからバイオファーマのMRは年収1500万円とか2000万円の人もいるのです。
この制度により、社員は自社株が上がれば自分の給料が上がることになり、会社の経営に対して高い意識を持つようになります。
高い成長を誇る企業で長期にRSなどの自社株を保有していれば、積立の退職金制度とは比較にならない金額を定年退職時に受け取ることになります。
内資系企業もRSを取り入れれば優秀な人が集められますし、社員のやる気も高まって企業競争力が高まると思うんですけど。
まとめ
新卒で入社した会社で勤め上げるのが良かったのか、それとも転職をして良かったのかは誰にもわかりません。
今も根強く確定給付年金制度が残っている企業も中にはありますが、そういった企業の中には画期的な新薬を開発できない内資系中堅企業を中心に企業体力が落ちており、自分が定年退職を迎える数十年後に退職金を満額支払う企業体力が維持できているかどうかは正直なところ疑問です。
しかし、30歳代や40歳代で定年退職のことを気にしてどうするのでしょうか?
スマートフォンをみんなが持ってる今を20年前にどれだけの人が予想したでしょうか?
数十年後の退職金なんて間違いなく支給されるでしょうか。
401Kについては所属の企業が導入していない場合には個人型の確定拠出年金(iDeco)もあります。
転職をする人には強い味方になりますね。
退職金を人生プランに組み込んでいる人は少しでも早く確定拠出年金制度を導入している企業に入る方が良いと思いますよ。
DODAは大手の中ではMRの転職に強いです。
募集案件も豊富なのでおススメです。
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