ひと昔前までは多くの製薬会社の主力だったプライマリー領域の製品ですが、今ではジェネリック化して必要のない数のMRだけが残ってしまっています。
そもそもプライマリー領域のMRって、毎日朝8:00から卸を訪問し、シェア・オブ・ボイスと唱えながら用事がないのに医療機関を訪問し、月末には翌月分の注文を前倒しで詰めて仕事した気になりますが、そのような仕事が本当に社会や患者さんの役に立っているのでしょうか?
私の経験も踏まえて記事にしたいと思います。
私がプライマリーMR時代に思ってたこと
私も花粉症の薬やスタチンを担当していた頃は必至で先述したような仕事をしていました。
未経験から外資系製薬会社に中途入社して、とにかく仕事を覚えるのに一生懸命でしたので、仕事内容がどうとか、患者さんのためになるかどうかというのは考えられなかったです。
しかし、数年経って仕事にも慣れてきて周囲の状況が見えるようになってくると、徐々に考えるようになってきました。
「この仕事って、本当に患者さんや社会の役に立っているのか?」って。
そう考えるようになってから、仕事のどれをとっても社会に貢献するための仕事かどうか疑問を持つようになってしまいました。
この仕事要らないんじゃ?と思ったエピソード
当時はまだ接待などが実質可能でしたので、私も医師と外でガシガシ接待していました。
接待は確かに医師とコミュニケーションを取るには絶好の機会ですので、会社の経費が許す限り私も実施したのですが、ある日の接待の直後からその施設での売り上げが急激に伸びました。
今までは数種類の同種製品を使い分けていたのですが、ほとんど自社製品に切り替わったのです。
営業としてはとても嬉しかったのですが、なぜか心に少し引っかかるものがありました。
それをはっきりと言語化することはなかったので初めはよくわからなかったのですが、何度か同じ経験をするうちになぜ引っかかるのかがはっきりとしてきました。
自社製品は本来必要でない患者さんや他の製品が必要な患者さんにも使われていたからです。
医薬品を処方する医師は、製薬会社の営業に高価な食事をタダで食べさせてもらったこと、また営業社員と仲良くなったことで、私の担当する製品を本来なら違う製品の方がベストなはずの患者さんや必要があるか疑問な患者さんにも処方されていました。
もちろん、接待を受けてもその患者さんに最も適切な薬剤を必要に応じて使用する医師が多いのですが、プライマリー製品というのはそのようなことが起きやすいということも事実です。
営業側の立場では、上がり続ける販売目標を毎期毎期達成するためにそのような使用を喜ばなければならないのもまた事実で、しかし仕事に対し徐々に違和感が湧いてきました。
その他の仕事も・・・
患者さんの治療に貢献するはずの医薬品を販売する営業職で、販売することに疑問を持ってしまうと他の仕事にも疑問が湧いてきてしまいました。
まず普段の医師との面談に関しても、プライマリー領域ではシェア・オブ・ボイスで処方が決まりますので、医師にとって必要な情報がない時でも頻回に訪問していました。
医師は人格者が多いですので、ほとんどの場合時間を割いて面談してくれましたが、基本的に医師は忙しい職業ですので、自分の無駄な面談が患者さんのことを考える時間を減らしているんじゃないか?と真剣に悩んだ時期がありました。
また、卸のMSの皆さんも朝は非常に忙しくしていますが、暇そうなMRがたいして用もないのにゾロゾロと営業所にタムロしているのに私はいつも違和感を持っていました。
卸の業態は製薬会社の製品を卸し、医療機関に販売してナンボですので会社方針としてメーカーの人間に偉そうな態度を取るなと言われています。
しかし、実際は鬱陶しいと思っているMSさんもたくさんいるんですよ。
同じことを思っているMRはどうすべきか
私もプライマリー領域の製品を経験して、自社製品を使ってもらった患者さんがとても良くなって喜んでくれたとか、嬉しい経験をしたことももちろんあります。
そんな時は社会への貢献を実感できます。
接待もほぼ不可能になりましたので、医師の判断が歪められる可能性も低くなりました。
しかし、やはりプライマリーMRの社会的な価値というのは低いです。
その製品が必要な患者さんに正しく使われるようにするための情報提供をする、というのが正しいMRの仕事のはずですが、どうしてもそれとは違う仕事になってしまいます。
そのことに対する違和感がずっとあるMRはどうすべきか。
それは、一刻も早く「スペシャリティ領域のMRになる」ことです。
私は実際に転職によってそうしました。
質の高い情報を求められている。
情報を提供して「ありがとう」と言われる。
提供した情報をもとに患者さんに治療を行い、上手くいったと喜ばれる。
これが患者さんや社会への貢献だと実感しています。
これからは必要のない仕事は淘汰されていくでしょう。
社会から必要とされるMRになるよう、一緒に頑張りましょう!
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