MRの仕事

MRが発する「患者獲得」「新患獲得」に嫌悪感を覚えるのはなぜか?

MRの仕事
MRは登録必須の転職サービス3選!

こんにちは。

現役MRのリョウタです。

MRはサラリーマンとしては給料が高いですし、まっとうに仕事をしていれば年に何度かは本当に困っている患者さんの役に立てることもある素晴らしい仕事だと思います。

しかし、社内の会議で毎回必ずと言っていいほど飛び交う「患者獲得」「新患獲得」という言葉について、私は毎回ものすごく違和感を感じます。

正義面しているわけではないですし、MRは営業職だということも15年以上やってきて重々承知しています。

社内用語ですのでどうでもいいと言えばどうでもいいのかもしれませんが、重篤な疾患に使用する医薬品であればあるほど強い違和感というか嫌悪感を感じるのは私だけですか?

今回は「患者獲得」「新患獲得」などの用語について感じることを共有したいと思います。

「獲得」という言葉に込められている意味

当ブログを読んで下さっているMRの方でこの「患者獲得」「新患獲得」という言葉に違和感を覚える方はいないでしょうか。

わたしはハッキリ言ってこの言葉を使うのがものすごく気持ち悪いので、可能な限り使わないようにしています。

直感的に嫌悪感を感じるのですが、なぜこれほど「獲得」という言葉を使うのが気持ち悪いのか論理的に考えてみました。

まず国語辞典で「獲得」という言葉の意味について調べてみました。

獲得・・・物品や権利など簡単には手に入れられないものを努力して自分のものにすること。

要するに、自分以外のものだったモノなどを自分のものにするということで、何かすごく身勝手な要素が込められていると感じるんですよね。

相手の都合を考えていないというか、そういう意味の言葉なので適切ではないかなと思います。

病気を治したいと願っている患者さんが自社の製品を使うことになったシーンを一度想像してみて頂きたいと思います。

重い病気であれば最後の望みになるかもしれない状況で、自分の担当している製品を使うことになった。

医薬品なので当然100%治るわけではなく、まったく効果がないかもしれないし、副作用などで投与中止になってしまうかもしれない。

なのに投与することが決まった段階で、会社の中ではMRが

「新患1例獲得しました!」と言っていて、成功事例として嬉しそうに話をしている。

周囲の社員や上司も「おめでとうございます!」「やりましたね!」と言って喜ぶ。

ほんとうにメデタイのか?

患者さんは獲得されたのか?

新患獲得という言葉が社内で飛び交う度に、私にはこの声がいつも聞こえてきます。

なぜ数ある単語の中から一番身勝手な意味を持つ表現を選んで使うんだろう?

企業理念などで「患者さんのために仕事をする」というのなら、なぜそれを追求しないんだろう?

この言葉が飛び交い始めると、私の頭の中はこうなってしまって会議の話があまり頭に入ってこなくなってしまいます。

もしも自分や家族が患者で、もしかしたら死ぬかもしれない病気になったとき、望みをかけて投与を始めるタイミングで、薬の製造メーカーが「患者獲得しました!」と言って喜んでいるのを知ったら、絶対に良い気がしないと思います。

自社製品が患者さんのためになると思って医師に勧めた結果、投与されるわけですから、営業としては嬉しいのは間違いないのですが、まだ投与が始まる段階では喜ぶタイミングではないと思うのは私だけなんでしょうか。

患者さんが自社製品を使って良い結果を得られたときにはじめて「おめでとうございます」と言えるようになりたいのですが、そうはならないもんですかね?

私の所属する会社での話

少し前ですが、全社の集合ミーティングがあったときに、患者さんのことについて考えるセッションがありました。

私はずっと思っていた違和感を公の場で議論できるまたとないチャンスだと思い、「患者獲得」の是非について声を大にして訴えかけました。

まずは自分と同じグループで討論し、グループの意見として承認されなければ全員の前に意見を出すことができませんでした。

しかし、この日に同じグループになったグループ長の管理職がけっこう「オラオラ系」だったため、私の意見は一蹴されてしまいまともな討論すらさせてもらえませんでした。

経営陣で誰か1人がこの言葉に少しでも違和感を持てば、割と簡単に解決できそうなことなのですが、末端MRからあげるとなるとかなり多くの障壁があり、声を届けることすら容易ではありませんね・・・。

それでも次の機会があればまたチャレンジしますよ。

企業のオモテとウラ

私は今まで4社の外資系製薬会社でMRをやってきましたが、1社たりとも「症例獲得」「新患獲得」という言葉を使わないようしていた会社はありませんでした。

おそらくですが、この言葉を使わないようにしている会社はほとんどないのではないでしょうか。

それくらいこの業界ではあたりまえの言葉になってしまっています。

会社のホームページなどでは、どの製薬会社も「患者さんのために~」「病気で苦しむ患者さんに寄り添って~」みたいな立派な企業理念が掲げられています。

社員に対しても企業理念やミッションを空で言うことができるくらい覚えさせる会社もありますが、どこも一様に患者さんを第一に考えた理念やミッションになっています。

対外的にはほぼ100%の企業がそうなっているにもかかわらず、社内的には逆にほぼ100%に近い会社で「症例獲得」「新患獲得」と連呼しているのです。

人に言われたら嫌な気分になる言葉と分かっていながら、実際に患者さんに聞かれないなら言ってもいいという考え方は倫理的にいかがなものなんでしょうか。

もしも私のように「患者獲得」と聞かされる度にテンションが下がる人が社内に一定の割合でいるとしたら、会社としてこれを言わないようにするだけでけっこうな生産性の向上が期待できると思います。

大企業ほど「患者獲得」という言葉を使わないようにすることは大きなメリットになるかもしれませんね。

まとめ

マジメな話になってしまいましたが、私がけっこう前から思っていたことです。

医療用医薬品という特性上、社内であっても他の業界と同じように使っていい言葉ではない自信があります。

日本だけでも100社近くの製薬会社があるのに、毎日経営理念や行動規範について触れている経営陣が誰一人としてこの「患者獲得」という言葉に異議を唱えないのか不思議でなりません。

だれか製薬会社の経営者層の方がこのブログを読んでくれないかな~と思っています。

1社でも多く、この割とあたりまえの話について真剣に議論してくれることを祈っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

転職サイトはdoda パソナキャリア

コメント

タイトルとURLをコピーしました