こんにちは。
現役MRのリョウタです。
日本の労働法では正社員の解雇にはかなり強い制限がありますので、日本の法人はなかなか正社員を解雇することは難しいです。
しかし、外資系の会社にいると1年の間に何人か変な辞め方をしていく人を見ることがあります。
ウワサでは
「あの人、クビになったらしいよ。」
というふうに聞くことがあるのですが、たいてい本当のことを知っている人はほとんどいません。
口外しないことを条件に割増退職金が支払われたりして実は本人は良い思いをしているのかもしれませんが、自分がそんな目に遭うのはなるべくなら避けたいですよね。
でも、MRは減少必至ですし、今後はこういうケースは増えていくことはあっても減ることはしばらくなさそうです。
今回は、もし自分が突然クビになってしまったらどうすれば良いのかということについて考えてみました。
何事も「備えあれば憂いなし」です。
目次
これから先は誰がクビになってもおかしくない時代
国内のMR数は2013年の65,752名をピークに減少を続けており、2018年には6万人を割り込み、今後も数千名ずつ減少していくと言われています。
日本政府も、「MRの数が多過ぎる」「製薬企業の営業関係コストが国の医療費を圧迫する一因になっている」とコメントしており、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」を2019年4月から施行するなど、MRの売上至上主義を排除する方向に動き出しています。
少子高齢化による国力の低下とそれに伴う税収の悪化、医療費の逼迫、新興国の人口増加や経済発展などを総合的に加味すると、日本のMR数もMRの年収も上がっていくどころか維持することすらどう考えても難しく、問題が大きすぎるため解決するための策もありません。
アメリカ並みの移民の受け入れによって若年人口を増やしていくくらいしかありませんが、それはそれで別の問題も出てきます。
それに加えて、
「終身雇用を前提に企業運営、事業活動を考えることには限界がきている。」
という経団連の中西会長のコメントや、
「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた。」
というトヨタ自動車の豊田社長のコメントにあるように、日本企業としても終身雇用制度から完全に脱却して欧米のような流動性のある雇用制度へシフトしようとしていることが明らかです。
もしも、労働契約法16条が改正されるような動きが出てきたら要注意です。
労働契約法16条は解雇権濫用法理という考え方について記載されており、これが企業が社員を解雇することを非常に難しくしています。
企業は業績が低迷してくると株主利益を守るために経費を抑える必要が出てきますが、もしこの規制が緩和されれば、数字の上で最も大きい人件費をある程度自由にコントロールできますので、企業としては国際競争力確保のうえで大きなメリットになります。
そうなると、今までのように膨大な金額を用意して希望退職を募集したり、コンプライアンス違反などよっぽど問題のある社員しか解雇できないなどということはなくなります。
KPIなどを細かく測定し、一定期間達成できないなどの理由だけで解雇されたりっていう時代が来てしまうかもしれません。
今のところ労働契約法16条の改正が議論されているということはなさそうですし、労働者側から相当な反発があることが予想されるため、この法律を直接的に変えることはないかもしれません。
しかし、例外規定の条文を新設したり、こっそり他の労働法で解雇しやすくなる法律に改正したりしてくる可能性は十分ありますので、そこは注意が必要ですね。
もしも解雇されたらどうするか
そこまでになるとしてもまだもう少しありますし、法律の改悪があるまでは乱暴なクビは法律的にも社会的にも非常にやりにくいので安心感があります。
しかし、現状でもクビに近いような辞め方をするMRはちょくちょく見かけます。
おそらくコンプライアンス違反や社内規定違反などの理由なんだと思いますが、そういう場合は会社お抱えの弁護士などが介入していると思いますので、何かの理由で会社に狙われたらおそらく回避するのはかなり困難なんだと思います。
アストラゼネカ事件(2018年5月和解)のような例は少数ですし、大半は泣き寝入りするしかない状況の中で辞めていっているはずです。
それでは、解雇されなければならない場合にはどうするか考えてみました。
あまり選択肢は多くありませんが、やれることをすぐにやるしかないというのが結論です。
裁判を視野に入れる
もしも、そういう目に遭ったら、労働契約法16条が改悪されていない今であれば、まずはアストラゼネカのベテランMRの方のように法廷で争うことを検討すべきです。
MRの方なら多少はお金に余裕がありますので、自分で弁護士を雇っても良いですが、まずは「法テラス」というサイトで無料相談ができますので、そこで勝訴できる可能性がある案件なのかを判断してもらってからでも良いと思います。
急いでMR転職活動をする
もしも勝訴することは難しいと判断されてしまったら、会社を辞めざるを得ませんので、次はとりあえずMRとして働き続けられるかどうかを考える必要があります。
退職理由を「自己都合」や「会社都合」にしてくれることもあるかもしれませんが、もし「懲戒」などという文言をつけられてしまったら、次の会社に就職することが困難になってしまいますので、なんとしてもそれは避けましょう。
その上で、すぐに転職活動を開始する必要があります。
転職する場合、可能な限り前職の退職から空白の期間が空かない方が良いという鉄則があります。
何のために空いたのか、採用面接の場で合理的かつ建設的な理由を説明できれば良いのですが、解雇されたような場合には説明できない可能性が高いですので退職日の翌日に次の会社に入社できるように転職活動をする必要があります。
MRの中途採用は昔よりも少ないのが現状ですが、諦めずにまずは探してみると良いと思います。
メーカーに転職できるのがベストですが、募集がないなどで難しいならコントラクトMRでも良いと思います。
少し年収が下がるかもしれませんが、プロジェクト先の会社で結果を出せばそのままそのメーカーに入社できる可能性もありますし、医療機器メーカーなど他業界を含めてまた転職のチャンスが来るかもしれません。
私の知り合いのMRでも、外資系でリストラになり、コントラクトMRに転職して3年でマネージャーに昇格し、転職前とほとんど変わらない年収にまで戻している方もいます。
CSOは新薬を扱える確率も高いですので、その後の転職にもプラスになりますし将来的には長期成長が見通せない一部の製薬メーカーよりも希望が持てると個人的には思います。
MR以外の転職も視野に入れる
前述のとおり、転職には空白の期間を空けない方が良いことから転職活動に期限があります。
MRの案件がタイミング的に見つからないこともあり得ますので、そういう時にはMR以外で転職できる会社を探す必要があります。
代表的なところだと、医療機器、CRO、保険などです。
医療機器も転職が活発な業界ですし、新たに参入してくる外資系もありますので良いかも知れません。
またCROはMRよりも年収は下がってしまいますが、MRを積極的に採用する会社がけっこうありますし、成長している会社が多いです。
保険はMRよりも実力主義なので自信がある方は良いと思います。
時間的にも業界や会社をゆっくりと選んでいる余裕はないかもしれませんので、これらの業界で募集があったら片っ端から応募するというのが良いのではないでしょうか。
日頃から転職に備えておく
いきなり会社に解雇の話をされたら混乱してしまうと思います。
しかし、これからは日本のサラリーマンも安定から遠ざかっていくことしかありませんので
「自分は解雇なんて、ないない。」
と高を括らず、日頃からいろんな想定をしておくことが大切な時代になってきていると思います。
転職に関しては、必要性が出てから活動を開始させるよりも、転職などする気もない普段のうちから開始させておくのが良いです。
なにも興味のない会社の面接を受けに行くということではなくて、転職エージェント会社にアカウントを作って担当者に相談しておくということです。
興味がないのに転職のサービスを利用することは気が引けるかもしれませんが、エージェント側もすぐに転職するとは思っていませんし、相談しておけばそれに合致した案件があれば紹介してくれるので情報収集することもできます。
慣れてくれば、2社目、3社目と複数のエージェントから情報収集することで、MRの転職事情にかなり詳しくなれます。
A社では取り扱っていない募集情報をB社が独占で取り扱っていたりするので、複数社にアカウントを持つことはとても有意義です。
本当はいつ会社を辞めなければならなくなっても良いように、ほぼ一生涯分の貯蓄を持っておくか、他の収入源を持てるように努力する必要がある時代です。
「今はリストラなんてそんなにあることじゃない」と思っていても、これから同じとは限りませんので、今のうちからいろんなプランを作っておくのが大事になってきています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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