日本の医療費は2005年の33兆円から2014年には40兆円を超えました。
医療費の過去最高の更新はなんと14年連続になります。
皆さまご存知のとおり、このうちの約4分の1にあたる10兆円が薬剤費として使われています。
このような状況の中、もはや医療費の抑制は政府の至上命題となっています。
そこで、ジェネリックを扱う会社は今後長期的に成長していきそうですが、ジェネリックMRへの転職はアリなのでしょうか?
目次
世界と日本のジェネリックのシェア推移
最近まで、日本はジェネリックのシェアが非常に低い状況でした。
2005年には32.5%しかなかったんです。
だから、新薬をまったく開発できない内資系製薬会社でも、ほとんど長期収載品だけで経営が成り立っていたのです。
毎年同じプライマリーの製品ばかりプロモーションしているMRもたくさんいましたよね。
ジェネリックが出たってほとんど切り替わらないし、正直それほど気にならなかったです。
ところが、欧米では既にジェネリックが非常に普及しています。
2014年には、フランス64%、イギリス73%、ドイツ83%、そしてアメリカはなんと92%がジェネリックなのです。
日本も欧米並みに普及させようということで診療報酬改定の度にジェネリックに有利な改定を行い、2015年には56.2%までシェアが拡大しています。
大手各社がジェネリックにも注力
しかし、まだまだ欧米のシェアに比べると低く伸びしろがあるため、これから恩恵を受けるのはジェネリックを扱う医薬品メーカーということになりそうですよね。
実際に、大手製薬会社もジェネリックには注力し始めています。
外資系大手では、ファイザーはマイランと提携しながら自社でもエスタブリッシュ医薬品部門を作って注力していますし、ノバルティスとサンド、グラクソ・スミスクラインとアスペンなど大企業同士の提携が活性化しています。
内資系大手でも、武田薬品には武田テバがありますし、第一三共には第一三共エスファ、エーザイにはエルメッドエーザイなど子会社を作って力を入れています。
長期的に伸びしろがあって需要も高いジェネリックを扱うMRに転職するというのも良さそうですが、どうなんでしょうか。
ジェネリックメーカーを受けてみた
ジェネリックの成長を見込んで、私は外資系大手メーカーに所属していた2012年頃に、実際にとあるジェネリックメーカーの面接を受けたことがあります。
総合的に条件が合えば本当に転職を実行しようと思って最終面接に臨んだのですが、その会社の役員から給与面の希望について聞かれました。
当時私は2社目の外資系大手に所属し、31歳で年収約800万円くらいでした。
それで、先発品メーカーとは利益率が違うジェネリックメーカーだから、多少年収が下がるのは仕方がないと覚悟していました。
それでもジェネリックへの追い風と会社の成長に魅力を感じていたので、希望金額は700万円と提示しました。
しかしその役員の方からは、「ウチではどの給与テーブルに乗せてもその金額は出せない」と言われてしまいました。
それ以来ジェネリック業界は諦めたのですが、ジェネリックが伸びて行くことに間違いはないですので気にはなりますよね。
これから熱いのはバイオシミラー!
ジェネリックが伸びると言っても、先発品に比べると利益率が低いですし、何よりも参入障壁が低いため競合が非常に激しいです。
さすがに武田や第一三共が参入してくれば、専業といえども後発品メーカーとは信頼感が違います。
取り戻せないほど年収が下がるのも厳しいですしね。
しかし、いよいよ日本でもバイオシミラーの普及が間近に迫ってきました。
国内でバイオシミラーの開発で先行しているのは、韓国セルトリオンと提携している日本化薬、ノバルティスの子会社サンド、アムジェンと提携している第一三共などでしょうか。
しかしバイオシミラー戦争はまだ始まったばかりなので、これから各社の提携や合併などが活発になってくることが予想されます。
高薬価のバイオ医薬品の後発品ということになれば、品質さえ良ければ病院側としても経営上のメリットが非常に大きいためインパクトは大きいはずです。
また、バイオ医薬品を担当したことのあるMRの需要もこれから出てくるのではないかと予想していますので、該当する人はチャンスです!
こんな人はジェネリックMRへの転職はアリ!
国内中堅以下のMR
社風がヌルくて年収に不満のある国内中堅以下のMRの人は新規参入の募集を狙ってみるのも良いと思います。
外資系のバイオシミラー企業なら年収アップの可能性も高いですし、専門性の高いMR活動ができますのでキャリアアップも果たせます。
プライマリー領域MR
プライマリー領域MRはバイオシミラーで需要の高いスペシャリティ領域の製品を経験することができるためまたとないチャンスになると思います。
未経験者OKの募集が出たら迷わずエントリーしましょう!
管理職を目指す人
これは予想の範囲ですが、今後日本に新規参入してくるバイオシミラーの外資系企業もあると思います。
そのとき、もちろん管理職も必要になりますが今の会社で管理職ポストがないために昇格できていないような人なら、管理職採用もあるかもしれません。
まとめ
今後はスペシャリティ領域の画期的新薬と同様、バイオシミラーも非常に熱い領域です。
私の経験上、ジェネリックメーカーへの転職は年収が非常に下がるというリスクがありますので厳しいですが、バイオシミラーで募集してくるメーカーは熱いと思います。
募集情報から目が離せませんね!
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