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医薬品卸4社の談合疑惑について思うこと

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こんにちは。

現役MRのリョウタです。

2019年11月のJCHO(独立行政法人地域医療機能推進機構)の医薬品競争入札に対する医薬品卸4社(メディセオ、アルフレッサ、スズケン、東邦薬品)の談合疑惑の件について、MRの方で驚いた人はおそらくいなかったのではないでしょうか。

医薬品卸という会社はそうやって成り立っていくしかない面があります。

大手卸はどこの会社もメーカーのMRよりも多いMS数を抱えながら薄利多売ですし規制なんかも多いですから、企業としての体力が強くありません。

少しのことで会社が傾きかねないことを4社ともわかっているからこそ、談合を拒否したくてもできない面もあるのではないでしょうか。

今回は医薬品大手卸4社の談合疑惑について思うことを共有したいと思います。

医薬品卸の利益率知ってますか?

医薬品自体は昔から「薬九層倍」と言われており、その名のとおり売値が原価の9倍ある利益率の高い商売だということを表しています。

今は医療ニーズが満たされている領域が増えてきているため新薬の開発が以前より難しくなっており、開発できれば利益率が高いかもしれませんが、1つの医薬品を開発するには10年以上の時間と300億円以上の資金が必要なことはザラにあります。

卸売業はメーカーが開発した医薬品を仕入れて医療機関に販売する業態ですからそのような莫大な開発コストは必要がない分、利益率が非常に低いのは当然ですが、卸売業という業態はメーカーとは段違いに利益率が低いのです。

2020年3月期の医薬品卸4社の営業利益率は、メディパルHDが1.6%、アルフレッサHDが1.7%、スズケンが1.5%、東邦HDが1.4%でした。

医薬品メーカーの営業利益率を見ると、塩野義製薬が38.1%、中外製薬が21.4%、アステラス製薬が18.7%という感じで、低い会社でも10%前後あります。

そういう利益率にもかかわらず従業員数は各社とも1万人近くいますし、製薬メーカーと違って各支店に医薬品を保管する倉庫の設置が必須になりますから、支店の数もたくさん必要になりますし、巨大な物流センターも全国主要都市に配置しています。

利益率が激薄いのに固定費はかかる・・・ということで、大手4社くらいの規模がないとやってられないくらいシンドイ商売なことは間違いないです。

いつもは薬価を下げたくないメーカーと万年赤字の公的病院の値引き要求との間で板挟みになり、ほとんど利益が出ない価格で販売したり、メーカーのアロワンスを当てにしてとりあえず自腹を切ったりして販売していますから、JCHOの共同購入は卸にとって上場企業の立場を守るためにも重要な取引であるのは間違いがないと思います。

金額がデカいから落とすとヤバい

JCHOはご存知のとおり全国の57病院と26の介護老人保健施設を運営しており、2年分の医薬品を本部が競争入札によって一括購入するため非常に大きな金額の取引になります。

どのくらいの金額かというと、2018年は7933品目で総額が739億円でした。

大手4社はこれを一社あたり150億円~230億円になるように分け合っていたということが疑われているのですが、大手4社は年間の売上高が1兆~3兆円ですから、JCHOだけで1%程度になります。

仮にこれを談合に参加せず落としたとすると、2~3億円の営業利益が吹き飛んでしまうということになります。

営業利益率1%台の企業にとってこの2~3億円を他で取り返すのは非常に困難だということは、業界にいるMRの皆さまなら感覚的にわかるんじゃないでしょうか。

しかも、JCHOの57病院は全国にあることから、この入札に参加できるのは実質的に全国卸の4社だけということです。

価格競争に挑んでくる地場卸が参加できないフィールドというのは4社にとって魅力的に映ったことでしょうね。

似たような4社があえて入札で価格競争をしてさらに利益率を下げるよりも、4分の1くらいずつ取り合う・・・。

まあ、談合はやっちゃいけないんでしょうけど、素直に価格競争してたら商売が成り立たないんですからわからないでもない、と思うのは私だけでしょうか。

日頃のMSさん達の努力を間近で見ているMRの方なら咎める気がしないんじゃないでしょうか。

まとめ

薬価改定は製薬メーカーだけの問題ではなく、卸の利益率も引き下げるということを忘れてはいけませんね。

その中で最近は大手4社も少しずつ営業利益率を伸ばしているのは本当にスゴイことだと思います。

私は1社目の製薬メーカーに入って間もない頃はこの4社の卸のうちのほとんどで(どこかは伏せておきますが)MSにいやがらせなんかをされて腹立たしい思いをしたことがありますが、なぜかこの談合事件に関しては非難する気になれません。

政府が規制している業界なんですから、バカ正直に入札に応じて全力で競争していたら商売が成り立たないことくらい理解してほしいですね。

卸売業に対しても補助金を出すなど配慮をしなければ、毎年薬価改定になってさらに苦しくなっていくんじゃないかと心配しています。

ただ、ある程度の規制を外せばヤマト運輸などの大手配送業が対応できるようになるかも知れず、そうなるとこの業界に特化した卸売業は厳しくなるでしょうね。

談合をやりすぎると政府の規制緩和が待っていますし、真面目に競争入札していくと企業生命を削る消耗戦になる。

MRも厳しい時代ですが、MSの厳しさはもう少し上ですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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