こんにちは。
現役MRのリョウタです。
ようやく社会は少しづつ落ち着きを取り戻してきましたが、私達MRにとって今回の在宅勤務は良くない方向に転がる可能性ありますね。
今回、大半の製薬メーカーが在宅勤務になったことで、MRがいない職場に快適さを感じた医師やその他医療関係者は多かったんじゃないかと想像します。
また、MRの営業活動がほぼ0になってもほとんど売上に影響がないことを確認することができた製薬メーカーもまた多いと思います。
約3か月間という長期間でこんなことを検証できる機会は今回のような事でも起きない限り絶対にないですから、貴重なデータとして真剣に今後の検討材料にする企業は多いんじゃないでしょうか。
製薬業界では今回の結果を受けて、今後思い切ってMR数を削減していく企業が増えてくることはもう避けられなくなってしまっているんじゃないかと思います。
これからは日本でも間違いなく、たとえ正社員であっても解雇しやすくなるような法改正が進められるはずですので、製薬各社はそのときに備えて自社の適正な営業社員数を検証していると思います。
それじゃあ今、現役のMRはいったいどうすればいいのでしょうか。
このテーマについて現役MRはよく考えなければならないと思いますので記事にしました。
MRは不要になると思う理由
MRの不要論は少し前から盛り上がっており、たくさんの意見があります。
一方でMRはなくならないという意見ももちろんあります。
将来のことは誰にもわかりませんが、私はかなり不要論寄りです。
少なくとも今のスタイルのMRは既にかなり必要性が薄いと思っています。
それは武田薬品、塩野義製薬、大日本住友製薬といった日本を代表する企業が軒並み同様の考えを持っていることからも間違いなさそうです。
下は2020年5月に各社の経営層が取材を受けてコメントした言葉をピックアップしています。
会社名 | 経営陣のコメント |
武田薬品工業 | 従来型のモデルでは将来の日本市場で最適なビジネスができるとは思っていない。デジタルのエコシステムが構築される中でどう事業展開するかが鍵になる。 |
塩野義製薬 | デジタルが今後の情報活動のベースになり得る。業界全体としてMRの数は減って行かざるを得ないだろう。 |
大日本住友製薬 | 日本市場は縮小していくだろう。日本では新薬が出てきても、売れそうになったらガツンと頭を抑えられる。 |
製薬業界の経営層は営業のデジタル化が必要で日本市場は縮小していく。
=MRは削減せざるを得ない存在である。
こういう鮮明なメッセージだと受け取っています。
国内大手製薬会社の経営層がとりあえずMRはこんなに要らないと言っているんです。
これがMR不要論を肯定する一番の理由です。
医療用医薬品という製品の特性上、副作用等の収集という大義名分があることからMRがなくなりにくい職業だというのは一理あります。
しかし、よりエビデンスベースの薬剤選択が必要になっている中で、営業によって競合製品と差別化する必要性は他の業界よりも低い業種です。
フォーミュラリーやガイドラインによって限定された中から薬剤を選択するようになっていくため、そもそも医師の一存で処方する薬剤が決まることが少なくなっていくということも考えられます。
なによりも医療費は政府が管理していて、国家財政を圧迫している医療費つまり国内の医薬品市場を今後縮小させていくしか選択肢がないということがMRが不要になっていくと考えるもう一つの理由です。
ただ、他の営業利益率が低い業界ならまだしも製薬業界は利益率が高い業界ですので、MRを全てなくすようなことはする必要はないかもしれません。
最低限の数はある程度の期間残っていく可能性があるとは思いますが、やっぱり数としては多過ぎるということで2013年のピークである65,752人から3分の1や4分の1に減少していく可能性の方が高いんではないでしょうか。
MRは営業職ではなくなる
このままMRは年間5000人前後削減されていき、10年くらいで20,000人を切るくらいまで減っていく過程でMRは営業職ではなくなるのではないかというのが私の推測です。
ITテクノロジーの発達と合理化によって営業職そのものの価値がなくなっていき、単価が安かったり営業利益率が低い業種は営業職が消滅してしまう可能性はけっこう低くないです。
MRは幸い営業職という側面以外にも適正使用情報や副作用情報を提供・収集するという仕事がありますので、こちらを中心に取り扱う専門職になる可能性はあるかもしれません。
ただし、今までのように文系大学出身でバリバリ体育会系の人がやる職業ではなく、医学や薬学、化学を専攻してきた人で薬の特性や作用メカニズムなどについては医師よりも詳しいくらいの人でないと務まらない職業になっていくと思います。
顧客はそのような人からの情報であれば価値を感じるでしょうし、営業職でなくなった後でも、企業が高い年収を支払って雇用する価値があります。
そうならないとしたら、MRは年収が200~300万円くらいで副作用対応と製品の決まったキーフレーズを電話やオンライン面談で連呼するだけの、パートタイムのような、コールセンターのような職業になっても不思議ではないですね。
欧米のMRがどうなっていくかに注意が必要
EVのテスラは今や世界の自動車業界の株式時価総額でトヨタに次ぐ2位にまで登り詰めていますが、営業マンは1人たりともおらず、業界で唯一ほぼオンライン注文による直販のみでディーラーを持たず、広告販売費はなんとゼロです。
ちなみにトヨタ自動車は販売広告費だけで年間約5000億円ほど投入していますので、同じ業界でも利益体質が雲泥の差です。
もちろん革新的な製品を作り出せる企業しか通用しない経営手法ではありますが、こういう流れはかならず他の業界にも波及してきます。
ここ数年で欧米の革新的な医薬品を販売する企業からテスラ式の営業戦略を参考にする企業が出てきても不思議ではありません。
米国のMRは10年でピーク時から25%程度まで減少しています。
ここからMR数が増えていくのか減っていくのか(たぶん増えてくることはないでしょうが)、またはMRという職種の形態が変わっていくのか、そして広告宣伝にコストをかけるのをやめる製薬企業が出てくるのかということに注意すべきです。
欧米の製薬企業でそのようなモデルが出てきたら、5年ほど遅れて日本もそうなる可能性大ですから、日本のMR数の減少スピードが加速するでしょうね。
不要になったMRはどうすれば良いか
どこをどんな切り口でみても日本の医薬品マーケットの規模が拡大していったりMRが今より増加したりという可能性をみつけることはできないですから、何も考えずにMRだけ頑張ってやるというのが最もやってはいけないことなんじゃないでしょうか。
MR数が3分の1や4分の1になったときに生き残っている自信があるMRの方はそれでも良いかもしれません。
しかし、あとの4分の3のMRの方はやはり今から何か他のことをやれるように準備を始めておく必要があるんじゃないでしょうか。
「そのとき」が来てからはじめても遅いですから。
まずは何でもよいので、自分がやりたいことを決めてやってみるということが大事です。
せどりでも良いですし、投資でも良いので自分が好きで続けられそうなことを優先してやっていきましょう。
もちろん私も複数のことをやってきています。
すでに挫折したものもありますし、継続しているものあります。
いろいろやってつくづく思うのは、「何であってもそれなりの時間がかかる」ということです。
一朝一夕でお金を稼げるようになるようなものは1つもないということを思い知っていますので、MRという仕事がまだやれているうちに副業を頑張っています。
MRの給料に代わるくらいのお金を稼ぎだせるようになろうと思うと、自分が好きなことを追求して人に教えてあげられるくらい詳しくなることが大切だと思っています。
それは人に勧められてやることではまずなれないと思いますので、ここではあえて特定の副業を勧めたりはしないでおこうと思います。
そうは言っても、全く何からやってみたら良いかわからない方は代表的な副業をまとめた記事を読んでみていただければと思います。
私はMRとしては間違いなく4分の3側ですので、今後ますます副業がんばります!
転職でMRとしての価値を上げておくのも削減対象になることを遅らせるためには良いかもです。
今は以前に比べると募集も少し出てきているので、まだ転職したことない方はやってみるのもいいかと思います。
ただこちらもある程度時間をかけてやることですので、先にエージェントに登録しておいて、焦らずじっくりと自分の希望する転職先を見つけるのが良いですよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント
いつも勉強になります。大変面白い内容でした。
引き続きよろしくお願いします。