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武田薬品はなぜ資産を売却しまくっているのか

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こんにちは。

現役MRのリョウタです。

武田薬品がさらなる資産売却を発表しました。

欧州とカナダでの主力以外の製品をドイツ企業のチェプラファーマに5億6200万ドルの一時金で売却することで合意したとのことです。

つい先日、武田薬品のリストラ発表は何を示唆しているのかという記事で武田薬品のシャイアー買収後の主な資産売却について列挙しました。

直近では8月24日に武田コンシューマーヘルスケアをアメリカの投資ファンドであるブラックストーンに2,400億円で買収することが発表されたばかりです。

それからわずか2週間での発表です。

武田薬品がここまで躍起になって資産売却をするのは主に有利子負債の縮小ですが、なぜそこまで急いでいるのでしょうか。

今回は武田薬品の有利子負債について考えてみたいと思います。

シャイアー買収による莫大な有利子負債

ほとんどの会社は企業活動を行う上でお金を借ります。

有利子負債とは、借りたお金のうち何かしらの利子をつけて返さなければならないものを言います。

たとえば、銀行からの借入れ、社債、コマーシャルペーパーなどを指します。

同じ負債でも、買掛金や未払金、支払手形などは利子がつかないので有利子負債には分類されません。

武田薬品は昨年、時価総額7兆円のシャイアーを買収するためにJPモルガン・チェース、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行などから最大308億ドル(約3兆3600億円)の借入れを行っており、これは完全に有利子負債になります。

さらに買収される側のシャイアーも直近でバクスアルタを買収して約2兆円の有利子負債をを抱えていましたので、買収する側の武田薬品がこれを引き継がなければなりません。

買収する前年の2017年に6900億円程度だった武田薬品の純有利子負債は、買収した2018年にはおよそ5兆円に膨らんでいます。

借入は借入当初の金利で3~4%と言われていますので、仮に3%としても、

5兆円 × 3% = 1500億円

武田薬品の2018年の営業利益はおよそ2380億円でしたので、そのままにしておくと利益の半分以上を借金の金利だけで失うことになってしまっていました。

実際は合併後ののれん代や無形資産などの償却費などもかかってきますから、ものすごい利益圧迫になっているはずです。

武田薬品は2018年5月の借入契約後も低金利の銀行などに借換えなどをおこなっており、実際はもう少し低い金利になっているかもしれませんが、いずれにしても莫大な有利子負債を

抱えたことによって利益を出せない会社になってしまっていました。

そもそも当時、時価総額3.7兆円くらいだった武田薬品が4兆円以上あったシャイアー

を買収するということに相当な無理があったことは間違いないです。

20兆円の時価総額と1.5兆円前後の営業利益を誇るファイザーがシャイアークラスの企業を買収するのと、武田薬品が買収するのでは話が全く違います。

この有利子負債をそのままにしておくと武田薬品はシャイアー買収によって企業価値を向上させるどころか、利益を上げられない企業価値の低い会社になってしまいかねません。

さらに、新薬の開発や設備投資などの借入れをすることもできず、将来の成長が止まってしまうため、急いで有利子負債を削減する必要があるのです。

だからここまで立て続けにコアビジネス以外の売却できるあらゆる資産を投げ売りしているということなのですね。

同業他社の有利子負債

武田薬品はシャイアー買収で巨額の有利子負債を抱えましたが、他の製薬企業はどうでしょうか。

国内の製薬大手の直近の純有利子負債をみると、以下のような感じです。

会社名2019年純有利子負債(百万円)
アステラス製薬-318,391(実質0)
第一三共-199,984(実質0)
中外製薬-203,941(実質0)
エーザイ-164,305(実質0)
大塚HD-147,514(実質0)
大日本住友製薬196,272
塩野義製薬-208861(実質0)
協和キリン-20762(実質0)
田辺三菱製薬-111655(実質0)
小野薬品工業-69005(実質0)

純有利子負債がマイナスということは現金の方が多いことを意味しますので、大手製薬会社のほとんどは有利子負債は実質的に0です。

武田薬品以外の大手10社のうち、有利子負債があるのは大日本住友製薬のみという結果でした。

大日本住友製薬も昨年にロイバント・サイエンシズ社の子会社を買収するなどしていますので2019年は有利子負債がありますが、その前年までは他社同様1000億円以上プラスの現金があり実質0でした。

このように製薬会社というのは有利子負債実質0の会社が非常に多いです。

その中で投資家に比較されますので、すぐには返済できそうもない巨額の有利子負債を抱えていると悪い意味で目立ちますね。

まとめ

資産売却作戦の効果もあって、武田薬品の2019年の純有利子負債は4.45兆円まで減っています。

今年売却した資産の金額を差し引いてもまだ4兆円前後の有利子負債が残っているのではないでしょうか。

これだけの資産を売りまくってもまだ5分の1程度しか減っていないのが現状ですので、ここから先はどうするつもりなんでしょうか。

同業他社並みの実質0にするには果てしない道のりですし、何かウルトラCでもなければ当分は利益が上がらない会社とみなされます。

法人税率を下げるためにイギリスやアイルランドに本社を移転させるとか、そんな仰天ニュースがないことを祈りますが・・・。

日本を代表する企業が他国に持っていかれるのは日本人として辛いですからね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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