こんにちは。
現役MRのリョウタです。
ここ最近、製薬会社が卸との取引をやめるという今までにはなかった事態が起こっています。
なぜわざわざ自ら販売チャネルを減らすようなことをするのか・・・。
日本撤退の予兆なのか?
日本への投資をやめて中国やインドなどの新興国に注力するのか?
いろんなことを想像してしまいますね。
他の製薬会社も続いていくのか、たまたまこの2社だけなのか。
今回は製薬会社が卸との取引を中止する理由について考えてみたいと思います。
製薬会社による卸の絞り込みの理由
先週、グラクソ・スミスクラインが卸大手のメディセオ、エバルス、アトルのメディパルグループと中北薬品、岡野薬品、マルタケ、新生堂、宮崎温仙堂商店の合計8社との取引を中止することを発表しましたね。
昨年にはノボ・ノルディスファーマが同じくメディパルグループの3社に加えてモロオ、岩淵薬品、中北薬品、鍋林、ケーエスケーなど合計8社との取引を中止しています。
なぜこんなことが起こっているのでしょうか。
通常、製薬会社はできる限り全国の隅々の施設まで自社製品の普及を進めたいと思っているはずで、そのためには1社でも多くの卸と取引をして宣伝のチャネルを増やしたいと思うのが普通です。
それなのに、メディパルグループのような最大手クラスの卸との取引をやめる製薬会社が相次いでいるというのはちょっと異常です。
グラクソ・スミスクラインやノボ・ノルディスクファーマが取引をする卸を絞っている理由としては以下のようなことが考えられます。
①物流コストを削減する
②価格の過当競争を防いで薬価を守る
③卸にアローワンスを払って宣伝してもらうような製品が減った
上記のような理由に集約されるのではないかと思っています。
物流コストはバカになりませんし、大手4社のうち1社くらい削っても正直なところ不都合は特にないですね。
価格競争については、個人的な予想ですが長期的なデータを取ったところメディパルグループや前述の地場卸が最も安売りをしていたということではないでしょうか。
そして、最も影響しているのは③じゃないかと個人的には思っています。
プライマリー薬が全盛期だった頃は、競合薬がたくさんあって少ないMRだけではマンパワー不足でしたし、GP市場で全ての施設をMRだけでカバーするのはまず不可能でした。
新薬だとMSの方にクリニックや調剤薬局に広く納入してもらって、後に少々返品が来たとしても売上を作ってくれるというのはMRにはできない仕事でしたね。
しかし、今は製薬業界のそういう慣習自体も変わってきていますし、そもそもそういう製品が少なくなっています。
③が大本の理由で、①や②の理由につながっているんじゃないか、と思っています。
3社も4社も同じ仕事をする取引相手は要らないという判断なのですね。
10年くらい前のメーカーと卸の関係から完全に立場が逆転したような感じで、なんか時代の流れを感じますね。
卸を絞る会社は増えてくるのか
卸にしてみるとたまったもんじゃないと思いますが、今後も後に続く会社は出てくると思います。
明らかにその方がビジネスの観点から合理的ですからね。
すでに、最近日本に参入してきている外資系のベンチャーの多くは取引する卸を2社とか、1社だけとかに絞っています。
そうすると交渉なども少なくて済みますし、価格競争も起こりにくいですし、物流コストも抑えられますしいいことずくめですね。
私がいる会社も扱う製品はニッチな領域の製品ばかりですので、一部のクリニック以外は病院の専門医しか処方することがありません。
取引きしている卸も2社しかありませんが特に不便を感じたことは一度もありません。
それどころか、新規採用のときにいろんな卸からプレッシャーをかけられたりしなくて済むのでありがたいですね。
外資系はこれからどんどん卸を絞ってくるんじゃないでしょうか。
卸の方にとっては頭の痛い問題ですが、やり始めた会社が出てきた以上、止まることはないと思います。
JCHOの競争入札に対する大手卸4社の談合事件が明るみになってしまったことによって、卸は今後今までのように価格を守るための卸間交渉ができなくなってしまいましたから、価格が崩れるのを恐れる製薬会社は間違いなく増えますし。
MSの方はかなりの覚悟が必要になるんじゃないでしょうか。
まとめ
メディパルグループがすでにリストラをしましたが、今後はいろんな卸が続いていくんじゃないかと思います。
取り扱うメーカーが1社、また1社と減っていくと間違いなく売上も減りますし、社員の給料にも影響してくると思います。
なので、若いMSの人は転職を考える方が良い人生になる可能性が高いのかもしれませんね。
MSって仕事も大変ですから、転職した人はたいてい「転職して良かった」って言っている印象があります。
30歳くらいまでのMSの人はCSOに転職してMRになってもいいのですが、ITエンジニアに転職するというのも良いと思います。
製薬会社の卸絞り込みは大きな流れになる可能性も秘めていますので、今年は業界の大きな転換点になりそうです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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