こんにちは。
現役MRのリョウタです。
国内のMR数は減少を続けていますが、今年もリストラを発表する会社が出てくるのかというのはMRをやっていれば誰でも関心があることではないかと思います。
今回の新型コロナでは、各社が「社員の健康と安全を守るため」と言って在宅勤務をさせました。
それを聞いて、「なんて社員に優しい会社なんだ!」と感動した方もいるんじゃないでしょうか。
でも、これだけ長い期間MRが外勤しなくても売上へのインパクトがほとんどないことが確認できてしまったことによって、「今後リストラが加速するんじゃないか・・・?」と不安になったMRの方もいるんじゃないかと思います。
今回は、新型コロナの影響でMRのリストラが今後加速していくのかどうかについて、私の予想を述べたいと思います。
目次
MRのリストラは加速していくのか
結論から言うと、間違いなく加速していくと思います。
その理由について、下記の5点をあげてみました。
1.もともとMRが増えすぎている
2.政府から製薬会社に人件費の削減圧力をかけられている
3.日本市場が縮小することが確実なので海外投資を増やしたい
4.MRの営業がそこまで売上に影響を与えないことが確認された
5.売り上げ規模に対してMRが多過ぎる会社がまだまだある
ではこれらについて説明していきたいと思います。
1.もともとMRが増えすぎている
日本の医療用医薬品市場は約10兆円ですが、米国は約50兆円と5倍以上の差があります。
それなのに、日本のMR数は米国とほぼ同等の6万人弱と明らかに多過ぎます。
GDP規模が日本と比較的近いドイツやイギリスのMR数はそれぞれ1万3千人、1万人と日本よりもかなり少ない数です。
なぜ日本のMR数だけがこれほど段違いに多いかというと、日本の医薬品市場は最近まで長期間にわたって伸び続けてきており、一時は米国に次ぐ世界第2位の市場にまで成長したからです。
日本の高齢化社会とプライマリー製品バブルがちょうど重なって市場が勢いよく伸びてきたことで各社は激しいシェア獲得競争を繰り広げましたが、MRを増やしただけ売り上げが伸びていきましたので問題にはなりませんでした。
それが、2016年をピークに市場は縮小傾向に入りましたので、まず外資系、続いて今は内資系もリストラを進めているというのが現状です。
2023年までの中期見通しにおいても日本の医薬品市場は先進国で唯一マイナス成長が予想されていますので、今後もリストラは加速していく可能性が高いです。
もともと、まだまだMR数は市場の縮小に合わせて減らしていく予定ですが、そこに今回の新型コロナウイルスの影響が重なったことによって、MRを削減する口実が増えたということは経営陣にとってはむしろプラスなんだと思います。
2.政府から製薬会社に人件費の削減圧力をかけられている
日本の医薬品市場がピークをうつ1年前の2015年に、当時厚生労働省保険局医療課薬剤管理官だった中井清人氏が日本ジェネリック医薬品学会学術大会で、
「世界水準に比べて日本の製薬会社のMR数は多いのではないか?」
と発言しています。
また、2019年まで厚労省の大臣官房審議官(医薬担当)だった森和彦氏は
「MRは必要な仕事だが今後も減少するだろう。」
と述べています。
このように、政府の要人たちがこぞって日本国内のMR数が多過ぎることについて公の場で懸念を表明することによって、製薬企業に対して削減の圧力をかけるという意味合いがあると思います。
2019年4月から施行された医療用医薬品の販売情報提供活動を規制するガイドラインについても、政府によるMR数削減の圧力の一つと捉えている製薬企業の経営陣は多いのではないでしょうか。
MRの数が多ければ多いほど、ノルマの競争が激しければ激しいほどガイドラインに違反するMRが出てくるリスクが増すわけですからね。
MRの給料の高さと数の多さが製薬企業の新薬開発コストを間接的に増大させていて、それが結局のところ医療費を圧迫することにつながっているというロジックで、政府から今後もMR削減の圧力がかかってくることは間違いないでしょう。
3.日本市場が縮小することが確実なので海外投資を増やしたい
日本の医薬品市場は短期的にも中期的にも縮小していくことがほぼ確実視されていますので、各製薬企業はこれまで以上に海外に活路を見出すことが至上命題になっています。
もともと海外展開が順調に進んでおり、海外での売上も伸びているような内資系大手の多くはまだ余裕がありますが、内資中堅以下の中でも海外展開が遅れている製薬メーカーは海外投資の資金を捻出するのにも国内のコストを削減する必要性が高くなります。
内資中堅メーカーの中には、国内でそこそこ売上を上げていても、いまだにほとんど海外展開できていないガラパゴスな会社もあります。
そんな会社は株式上場企業である限り、企業存続のため「リストラしたくない」とか「社員の雇用を守る」とか言っていられなくなると予想します。
4.MRの営業がそこまで売上に影響を与えないことが確認された
今回の新型コロナウイルスによるMRの活動自粛は、製薬企業経営陣に非常に大きなインパクトを与えたのではないでしょうか。
3~4ヶ月も世界中でMRがまったくといっていいほど稼働しなかったことはこれまで経験がなかったでしょうし、やりたくてもできなかった貴重なデータ採取になったと思います。
そして、それでもグローバルで売上がほとんど減っていないことを確認することができ、すでに新しいビジネスモデルの構築に動き出している企業もあるのではないでしょうか。
アステラスやノバルティスファーマに続いて支店や営業所を廃止する会社も間違いなく出てくるでしょう。
まさかこの経験をしておいて今後MRを増員する会社は出ないでしょうし、市場が縮小していく日本ではヘッドカウントを減らす決定をするには充分な出来事だったのではないでしょうか。
5.売り上げ規模に対してMRが多過ぎる会社がまだまだある
なんだかんだ言っても最終的にはこれにつきます。
売上が拡大していく局面では、多少業績規模に対してMRが多くても先行投資という理屈がとおりますが、売上や利益が停滞・減少していくとなればMRの数が多過ぎるのは株主に対して説明ができなくなります。
特に内資中堅にそういう会社が多いことは下記の記事で紹介しました。
海外にも展開できていない、新薬も開発できない、導入品や長期収載品ばかりなのにMR数だけはなぜか1000人くらいいる会社が今後もそのMR数を維持することができるとはどうしても思えません。
内資中堅のリストラが今後しばらく国内のMR数の減少に寄与していくのではないでしょうか。
まとめ
昔は何があってもリストラしない会社というのもチラホラありましたが、今となってはどこの会社にいたって安心できることはありません。
なので、リストラされないで平穏に定年までMRとして仕事ができるなどということは考えない方が身のためだと思います。
もちろん、MRの仕事を一生懸命やるのも良いですが、リストラの対象になった場合、次の手として何をするかとか、今のうちから他の収入を確保するとかということについても考えておく必要があります。
自分がリストラの対象になったらということを前もって真剣に考える人ってあまりいないと思うんですが、これからは優秀な社員なのかどうかとか、真面目に一生懸命やってきているとか、そんなことは関係なく誰でもリストラの対象になる可能性があります。
外国の企業に買収されたりしたら、誰がどうなるかほんとにわからなくなりますから。
考えたくないことですが、考えてみるべきだと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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