こんにちは。
現役MRのリョウタです。
もうすでにご存知の方も多いかと思いますが、三重大学医学部付属病院の麻酔科の教授と准教授がランジオロール塩酸塩(オノアクト)を実際には使っていないのにもかかわらず患者に投与したかのようにカルテに記載し合計2,800万円の診療報酬を請求していたという事件が紙面をにぎわせています。
MRの皆さんは「まだやってんの!?そういう昭和の時代のやつ・・・。」と思った方が多いんじゃないかと思いますが、この時代になってもまだやっているというのは、そうとう頭がイカれているとしかいえませんね。
こんなわかりやすい不正を続けたらいつか誰かにバレることは当然だと普通の人ならわかるのですが、教授や准教授の立場になるとわからないもんなのでしょうか。
せっかく『私の家政夫ナギサさん』でMRの印象が多少良くなったと思ったのに、こんなニュースが表に出てしまったらまた元のグレーな職業のイメージに逆戻りです。
ディオバン事件やブロプレス事件に匹敵する今回のオノアクト事件から、私たちMRに起こることについて考えてみたいと思います。
なんのためにやっていたのか
第三者委員会の調査結果によると、教授からオノアクトを大量に使うよう指示された准教授が教授に気に入られようと思ってやったということですが、その際に使用したように見せかけてカルテを改ざんし、使っていない分は廃棄していたということのようです。
委員会によると、教授が小野薬品からの奨学寄附金を期待してオノアクトを大量に使用させていた可能性があると報告されていますが、教授も准教授も個人的に金銭を受け取っているわけではなく、小野薬品も不正には関与していないとのことでした。
私は外資系の会社ばかり転職して4社で勤務してきましたが、10年以上前から自社製品の処方量で奨学寄付金を決めていた会社は1社もありませんでした。
欧米は公務員に対する贈収賄に関して非常に厳しい法律を設けていますので、当時から奨学寄附金は日本の社員の裁量で決められるようなものではありませんでしたから。
内資系の会社に勤めたことがありませんのでその辺はよくわかりませんが、もしも小野薬品が関与していたということになったら、これはディオバン事件やブロプレス事件に勝るとも劣らない事件になる可能性もあると思います。
しかしこの時代にまだ奨学寄付金を営業的に利用できる会社が存在しているんですかね。
外資系にいるMRの方のほとんどは理解できないと思いますが、内資系ではまだあたりまえだったりするのでしょうか。
なにか、やっていたことに対する教授のメリットが小さすぎるような・・・。
小野薬品ががっつり関与していないと説明がつかない気がしますね。
教授の懐にガッポリ入るとか、そうでなければせめて奨学寄附金が増えないとここまでやれますかね?
教授は常識の範囲内で積極的にオノアクトを使えと准教授に指示したのを准教授が忖度して不正した可能性もなくはないですが、それにしても教授自身に何かメリットがないとわざわざそんな強く指示出しますかね?
そもそも、これバレないと思ってやっていたの・・・?
「?」ばかりが頭に浮かぶ事件です。
准教授は大学から懲戒解雇されるみたいですが、大学側は刑事告訴も検討しているようですので、そうなるとさらに詳細な理由が出てくるかもしれませんね。
MR減少に拍車がかかる?
こういう事件がMRの生存に影響を及ぼす可能性があります。
実際、政府は医療費抑制の観点から製薬業界に対し圧力をかけてきています。
過大広告や虚偽広告の違反が多い状況をみて「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」を稼働させていますが、実際には国の医療費を下げるために製薬会社のMRを削減させたいという思惑もあるのではないかと思います。
その証拠に、2015年ごろに当時の厚生労働省の中井清人薬剤管理官が日本ジェネリック医薬品学会学術大会で「世界水準に比べて日本の製薬会社のMR数は多すぎる。MRに費やしている経営資源を研究開発や安価な医薬品供給に回すべき」と指摘しています。
小野薬品がこの事件に関与しているということになったら、厚生労働省から製薬会社に指導が入ることも考えられますし、販売情報提供ガイドラインや広告活動監視モニター制度がさらに厳格なものになる可能性もあり得ます。
そうなると、ただでさえ新型コロナでMRの存在意義が会社の想定と違うことがバレてきているのに、さらにKPIについて慎重に検証する会社も出てくるかもしれません。
こういう事件がMR削減の流れに拍車をかけてしまうことは充分に考えられると思います。
少なくともMRにとってプラスの影響は何一つありませんよね。
まとめ
新型コロナに続いてまた一つ、MR不要論につながるネタが出てきてしまいました。
MRは安全性情報の提供や収集には必要ですし、売上に全くつながっていないかというとそんなことはありませんので、全く不要というのはさすがに暴論だと思っています。
しかし、問題なのは「現状の数が多すぎる」ということですので、数を減らすきっかけにならなければいいのですが。
もしもこんなヤバい案件にまだ関わっているMRがいたら、完全に時代錯誤ですのでなんとかして止める方法を考えてほしいと思います。
MRにしてみると昔から続いていてその施設を担当したばかりに、ヤバい仕事を引き継がなければならなくなってしまったということも実際あるかと思います。
大学病院のような会社にとって重要な施設では、自分の判断で足を洗えば売上がゴッソリなくなってしまう可能性大ですし、評価や出世の希望も水の泡になってしまいますから、なかなか自分の判断でその流れを断ち切るのは難しいかもしれません。
会社は見てみぬふりをせず、とばっちりを受けた社員を守ってほしいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント
関西医科大学のディオバン事件の横であった捏造論文や業務上過失致死の産婦人科や心臓外科の異常手術の隠蔽工作の被害者です。(院長澤田敏と前院長今村洋二、理事長塚原勇、顧問弁護士小寺一矢などが結託していました。)
結局、のちに山口組との癒着が発覚した京都府立医科大学と関西医科大学を含めて、東京大学が法曹を巻き込んで、オネストエラーで終わりました。
関西医科大学ではディズニーランド出張で外科の教授の首も飛びましたが、おそらく、もっと大きな隠蔽工作があるんじゃないかとは思います。
東京女子医科大学で有名になったプロポフォールも新宮興名誉教授の仕事ですしね。
どうせ、足のつかないお金や権力が動いて、間で動いた末端医師やMRに濡れ衣かぶせて、闇に葬り去るシステムなんだとは思います。(笑)