こんにちは。
現役MRのリョウタです。
MRはサラリーマンの中では年収も高いし福利厚生も良いし休暇も取りやすい、おまけに景気にも左右されにくいので安定しているということで非常に良い職業だと思います。
過剰な接待や臨床試験のごまかしなども今ではほぼなくなり、社会的にグレーなところも解消されてきています。
しかし一方で最近まで必要以上に人数が増えすぎていたために、必要なくなった数がリストラによってどんどん減らされていますので、将来的に不安を覚えるMRも少なくないんじゃないでしょうか。
ではこの先、MRの年収は将来的に上がっていくのか下がっていくのかについて予想してみたいと思います。
今後のMRの年収予想
結論からいうと、一部の会社のMRの年収は上がりそれ以外の会社では上がらなくなるかもしくは改悪されて下がっていくと予想しています。
この予想についての根拠について示していきたいと思います。
営業利益率に差が出てきている
営業利益率が従業員の年収を決める大きな要因になっているというのはご存知の通りです。
営業利益率が高い業界の方が給与水準は高いのが一般的ですね。
製薬業界は数ある業種の中でも営業利益率が高いということが全体的に給与水準が高い理由です。
今まではある程度のMRを抱えている製薬会社ならどこも儲かっていたから高い給与を支払うことができていたということにほかなりません。
プライマリー薬全盛期の頃は他社と同じような薬を5番煎じや6番煎じで販売しても売れていましたから。
また欧米の医薬品がドラッグラグによってなかなか入ってこなかったり、自社開発を頑張らなくても欧米の製薬メーカーの導入品を販売するだけで十分高い利益を確保することができていました。
しかし最近、製薬会社の中でもこの営業利益率に差が出てきています。
それを確認するため、各製薬会社の2010年・2015年・2019年の営業利益率を一覧にしてみました。
2010年(%) | 2015年(%) | 2019年(%) | |
武田薬品工業 | 25.9 | 7.2 | 9.8 |
アステラス製薬 | 12.5 | 18.1 | 18.8 |
第一三共 | 12.6 | 13.2 | 9 |
エーザイ | 14.7 | 9.5 | 13.4 |
中外製薬 | 17.5 | 17.4 | 30.7 |
小野薬品工業 | 26 | 19 | 21.5 |
大塚HD | 11.2 | 10.5 | 12.7 |
塩野義製薬 | 16.6 | 29.5 | 38.1 |
田辺三菱製薬 | 18.7 | 22 | 11.8 |
参天製薬 | 27.7 | 41.1 | 19.3 |
キッセイ薬品 | 10 | 14.4 | 8.6 |
キョーリンHD | 15.8 | 16.4 | 7.9 |
久光製薬 | 20.6 | 17.1 | 15.5 |
持田製薬 | 14.7 | 13.2 | 9.7 |
科研製薬 | 16.4 | 32 | 26.1 |
日本新薬 | 8.2 | 10.2 | 18 |
ゼリア新薬工業 | 6.7 | 7.3 | 6 |
ツムラ | 22.7 | 17.6 | 15.3 |
鳥居薬品 | 4.1 | 7.9 | 3.3 |
日医工 | 11 | 9 | 4.9 |
沢井製薬 | 21.3 | 18.8 | 14 |
東和薬品 | 20.9 | 13.6 | 15.2 |
日本ケミファ | 7.3 | 8.8 | 4.3 |
※順番は適当です。
営業利益率については最高水準のIT業界においてGAFAが30%前後です。
製薬企業も業界として高水準ですが、差が小さくどこも高かった2010年と直近の2019年とを比べると格差が出てきているのが分かります。
営業利益率が低下している会社
武田薬品や第一三共など大手は海外比率が高いですので、そちらに設備投資や経費を投入していたり、買収やリストラなどで一時的に営業利益率も変動するため、この推移を見てもあまり参考にはならないかもしれません。
しかし、キッセイ薬品やキョーリン製薬、持田製薬といった海外比率が低い中堅において営業利益率が低下してきているのはやはり自社開発の新薬が出せないということや、長期収載品の薬価が下がって利益を圧迫していることが影響していると予想されます。
また同様に日医工や沢井製薬など後発品がメインのメーカーにおいても、後発品の競合の激しさや薬価低下の早さなどが利益率に影響してきているのではないでしょうか。
このへんについては、「内資系中堅製薬会社MRは海外売上高比率に注目してますか?」
でもう少し詳しく紹介していますのでよろしければこちらも読んでみて頂ければ幸いです。
このような状況が今後も続いていく会社では、株主の利益を守りつつ従業員の給料を上げ続けていくのは非常に難しいと思います。
利益率の高いビジネスや製品を増やすかもしくはリストラなどでコストを大幅に削減することが必要になってくるはずですが、新薬を本気で開発せず海外展開も怠っていた会社だとコストカットしか道がなくなってくるのですが、それはもうすぐかもしれませんね。
営業利益率が上昇している会社
逆にアステラス製薬や中外製薬、塩野義製薬といった大手が高い営業利益率を維持しているところはさすがです。
エーザイや大塚製薬、小野薬品は多少変動がありますが、それでも高い営業利益率を維持し続けています。
また海外が好調な日本新薬や参天製薬は国内中堅の中でも将来に明るい希望がありますね。
このような営業利益率が上昇していたり高いままキープできている会社は投資家からも評価されますし、社員の待遇が悪くなっていく可能性も比較的低いです。
今は業界全体の変革が起こっていますし、海外比率を高めたい会社や少数製品への依存が高いような会社では国内が好調でもリストラを進めたりしていますので不安定なのはたしかです。
しかし必要なコストカットや先行投資を行って業績に反映されると社員に還元される可能性も高いですので、このような会社は将来的に年収が上がっている可能性が十分あるのではないかと思います。
業績が悪くないうちから次への投資やコストカットするのはある程度先を見通す力があるということですので、目先の流れだけをみて転職を決める必要はないのかもしれませんね。
MRの年収は格差が拡がる
今回は各製薬企業の営業利益率の推移からMRの年収について予想しました。
営業利益率は10%以上あれば高いと言われており、製薬業界以外ではたとえばNECなど電気機大手では数%で6%とか8%を目指してもなかなか到達せずに苦労しています。
食品業界や紙・パルプ業界、繊維業界などは大半の企業が5%以内ですし、同じ医薬品業界でもスズケンやアルフレッサなどの卸は1%代です。
そんな中で10%代や20%以上をキープしてきたからこそ社員の高い年収を維持してこられたのですが、低下したまま回復させられない会社のMRの年収は下がっていく可能性が高いとしかいえませんね。
逆に今までの営業利益率を維持したり上昇させられている会社のMRはまだ頑張っていくと報われる希望が残されているといえます。
さらに数年後、業界全体の平均年収はたいして変わっていないけど年収が高い会社と低い会社に今よりも大きな差がついているというのが私の予想です。
今までのように会社の成長に差はあれどどんな薬でもある程度売れて高い利益率で儲かってきた時代は終わっています。
だからこそ従業員であっても所属する会社の成長の推移をみていく必要があると思っています。
製品の開発力がなくなってしまったり、市場が縮小する国内だけでしかビジネスをする気がなかったりして、売上や利益率が低下してそれが社員の待遇に反映されそうなら社員として仕事を頑張っても報われない可能性が高くなっていきますので転職を考えるべき時代になりました。
これには長期の目線が必要になりますので、衝動的に転職を考えるのではなく転職エージェントと相談しながら戦略的に転職することがより必要になってくるというのが私の持論です。
下の転職エージェントは私も長年話をさせて頂いて、単に転職をゴリ押ししてくるのではなくMR目線で必要なタイミングを一緒に探してくれるエージェントですのでご紹介しています。
みなさんはMRの年収についてどう思われますか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント