MRの将来性

MRが不要になることはない。しかし減少は続くという話

MRの将来性
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こんにちは。

現役MRのリョウタです。

MR不要論については10年近く前からメディアなどが取り上げていて、将来に不安を覚えるMRの方もいらっしゃるんじゃないかと思います。

でも結論から言うと、顧客側からMRは不要という声が大きくなったとしてもMRという職業がなくなることはないということです。

医師や薬剤師、弁護士という職業がAIに取って代わられて消滅するというような、シンギュラリティとも呼べるような時代になればMRもなくなっているかもしれませんが、少なくともMRは真っ先になくなるような職業ではないです。

ただ、数はまだまだ減っていくので、私も含めて現役MRの方は増えている時代と比べると良い思いができる可能性がだいぶ低くなることに気をつけながら複数のプランを用意して置いた方が良いんじゃないかということになります。

MR不要論は顧客側の理屈

MRという職業はサラリーマンの中で年収が高くて福利厚生も充実しているため、多くの人から羨ましがられる職業です。

しかし、製薬会社やMRの世間のイメージとしてはどこかダーティな部分があり、最近多い医療系のドラマだと必ずと言っていいほど悪者役として登場していますので、さらにそのイメージに拍車をかけています。

それは世間的に妬まれやすいMRを正義の役として登場させるよりも、悪者で登場させた方が面白いし視聴率を取りやすいからなんですよね。

メディアにとってもロジックは同じで、MRをディスる記事を書くと読者に読んでもらえるため、MR不要論などはメディアにとって格好のネタになりやすいです。

だから、MRが不要だと思っているどこかの病院の院長や薬剤部長を煽っては、あたかも多数派であるかのように誇張して記事にしているわけです。

MRの情報提供は要らないと思っている顧客は一定の割合でいるのは当たり前ですし、今回の活動自粛によってそれは多少増えるかもしれません。

ただ、仮にどんなにMR不要論者が増えたとしても、MRがなくなることは今のところ考えられません。

なぜなら、MRが不要なのは顧客側の理屈であって製薬企業側の理屈ではないからです。

そもそもMRは営業職なので、会社の利益のために雇用されています。

自社製品を使用すべき理由を顧客に訴求して、使用する量を増やしてもらうというのが会社にとってのMRの存在意義です。

ただ会社にとってMRには自社製品に関する安全性情報の提供・収集というもう一つの存在意義があって、それが顧客にとって不要かどうかについて長年論じられているというだけなのです。

将来的にはAIの進歩によって、瞬時に製品の安全性情報を収集したり提供したりできるシステムが登場してMRがやる必要がなくなる時代が来るかもしれません。

そうするとMRが安全性情報の提供・収集という仕事をほとんどやる必要がなくなってしまうかもしれませんが、それでも会社にとって最も大切な「売上や利益の成長」に貢献してくれる営業機能をかんたんに0にすることはできないのではないでしょうか。

自社製品を処方していなかったり、他社製品の方を多く処方している医師に対して、自社製品の処方を多く処方してもらうということについてはMRに頼るところが大きいのです。

どんな業種でも営業というのは顧客に大歓迎される存在ではなく、それでも地道で泥臭い努力によって売上をあげるものですよね。

医師や薬剤師の多くも自分たちにメリットのない営業は受けたくないと思っていますが、中には研究や外部への暴露に繋げることで自らのプレゼンスを向上させたり、スポンサーを募ったりするために企業とのコンタクトを継続させたいと思っている医師も一定の割合でいます。

そういった営業的な側面へのメリットがなくならない限り、MRという職業が不要になることはないと言えます。

そのために必要な数は減り続ける

ただ、「MRが不要になることは当分の間ない。だから安泰だ」ということではなくて、これからもMRの数は減り続けるので現役MRの方は油断してはいけないということが今回最もお伝えしたいことになります。

MRの数が減少しつづける理由は大きくわけて下記の3つがあります。

・日本の医薬品市場が縮小していく

・デジタル技術が発展して物理的な必要人数が減る

・SOVの過当競争により数が増えすぎている

これらについてみていきましょう。

日本の医薬品市場が縮小していく

ご存知のとおり、日本の年間医療費は約42兆円となっており、拡大し続けています。

国家予算が年間約100兆円といわれていますので、医療費の占める割合はおよそ4割です。

医療費の中で約25%を占める医療用医薬品市場についても拡大し続けてきており、ここ5年は連続で10兆円を超えています。

しかし人口については既に減少に転じており、現在1億2500万人ほどの人口は2050年ごろには1億人を割り込むと推計されています。

つまり、人口は減っているのに市場はまだ減少していないのです。

しかしこれは最近の抗がん剤を中心とした一部の高薬価の医薬品の影響であり、人口の減少とそれに伴う医療費の縮小のダブルパンチを受けても市場が拡大し続けていくとは思えません。

また多くの企業において、薬価の引き下げや後発品のシェア拡大によって利益をあげにくい市場構造になってきているのは間違いがありません。

画期的な医薬品を上市できる一部の製薬メーカー以外の大半は今後もMRの数を減らす以外に今までのような利益率を維持する方法がないと思われます。

デジタル技術が発展して物理的な必要人数が減る

これは今まさに現役MRの私たちが痛感している現象です。

新型コロナ以前からZoomやMicrosoft Teamsなどのリモートツールが出てきていましたが、今回一気に普及してこれらの必要性だけでなく利便性まで知ることになりました。

新しい感染症の社会への影響がこれほど大きなものであることを世界が体感した今、以前のような営業スタイルに戻ることは考えにくく、デジタルツールによる営業が普及すればするほどMRの人数は必要なくなっていきます。

直近でも武田薬品や塩野義製薬、大日本住友製薬の経営陣がメディアでMR数を減らす必要性や国内市場の縮小についてコメントをしていましたし、これらの大手が動けば追随する企業は当然増えていきます。

SOVの過当競争により数が増えすぎている

MRはそのときの市場に対して適正な数まで減少していくでしょう。

その適正人数が数年前までは非常に多かったために、今のMRの適正人数とかけ離れすぎてしまっているということです。

これからもプライマリー領域のピカ新も上市されるとは思いますが、数年前までほど多くの会社からどんどん出てくるということはありませんので、また当時のようにSOV(シェアオブボイス)の過当競争になることはないと思います。

NASHの治療薬や、今まで完治することがなかった慢性疾患が完治するような薬が上市されれば、もしかするとまたMRバブルが来る可能性もありますが、そのときの社会情勢次第ではないでしょうか。

まとめ

テスラのようにマーケティングにも営業にも一切コストを掛けずに成長を続けている会社も出てきていますが、すべての企業でマネができるというわけでもないので、製薬企業もMRが0になるというのは考えにくいものがあります。

私個人的には、数十年単位の将来にMRは必要なくなっているんじゃないかと思っています。

ただ、今すぐにMRが不要になるというような議論についてはあまり気にする必要はないのではないでしょうか。

かといってMRが安泰な職業であるという時代もすでに終わっていますので、自分や家族を守るためにプランB、プランCを作っておく必要があると思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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