メディカル業界では、医薬品メーカーの営業担当者をMR(Medical Representatives)と呼ぶのに対し、医薬品卸売会社の営業担当者をMS(Marketing Specialist)と呼んでいます。
両社はともに営業職ですが、仕事内容は大きく異なっています。
それぞれが社会貢献度の高い、やりがいのある仕事ですが、私の結論としては「MSの人は絶対にMRに転職した方が良い」と考えています。
誇りをもってMSの仕事をしている人に面と向かって言うことはできませんが、現在MSの方でMRへの転職に興味がある方へのご参考になればと思い記事にしました。
将来MSの営業職はなくなるかも?
「MSは絶対にMRに転職した方が良い」とまで言うのはなぜでしょうか。
それには複数の理由があります。
まず最も大きな理由として、MSという営業職自体がなくなる可能性があるということです。
MRについてMRは今後、定年まで勤められるか?でも取り上げたとおり、私はIT技術の進歩にともなって今後も様々な形でMR数の削減が進んでいくことを予想しています。
それはMRだけに限らず、MSでも同様のことが起こっていくと予想しています。
実際に、全国のMS数の推移をみていくと、2004年には22,471名だったMS数は2017年には17,102名まで実に5,000名以上減少しています。
(一社)日本医薬品卸売業連合会調べ
MRは2013年に過去最高の65,752名になった後は3年間で2,567名の減少となっていますが、減り始めたのはごく最近です。
減少幅は少ないものの、MS数は10年以上も前からほぼ一直線に減少し続けていることを考えると、今後回復傾向になることは考えられません。
もちろん、MRの削減は外資系企業が主導であり、外資系企業はグローバルの視点で合理的にビジネスを進めていますので、日本という伸びなくなったマーケットの1つを規模縮小させる中で削減が進んでいるということもありますが、やがては国内大手企業も後に続いていくことが予想されます。
製薬企業に比較すると卸売企業は全て内資系ですので、MSはMRほどドラスティックにリストラが進んでいくことは考えにくいですが、IT化が進むとMRよりもMSの方が効率化が可能というのが私の予測です。
医薬品の卸売業においては、外資系企業が入り込めないため極めてイノベーションが起こりにくい業界の一つですが、メディセオやアルフレッサなど大手企業が技術革新に舵を切ったとき、この業界でも大きなリストラの波が来るのではないでしょうか。
MSの年収には希望がない?
MSの平均年収は20代で415万円、30代では559万円だそうです。
外資系企業が入ってこないことで、雇用に関しては流動性が低く救われている部分もあるのですが、個々の年収に関してはほとんどの会社で昔ながらの終身雇用制・年功序列制が続いていることで、バリバリ働いて成果を上げている若手のMSが被害を被っているということもあります。
製薬メーカーではヒラのMRで20代でも1,000万円を超える年収を得ているMRがいる中で、MSではそのような希望を持つことはほぼ不可能です。
卸売会社の多くは支店長でも年収1000万円以上ある人は多くありません。
そもそも、製薬メーカーと卸売会社では企業としての利益率に雲泥の差があるため、年収を比較すること自体ナンセンスです。
製薬メーカーの利益率は20%以上あることはザラですが、卸売会社の利益率は1%以下です。
にも関わらず、社員数はメディセオで約8,000名、スズケンで約5,000名もいるのですから、利益構造から考えても社員ひとりあたりの給料が高くなることがないのは当然です。
これらのことを考えてみると、今後若手のMSの給料が仕事量に見合うだけ上がることは考えにくいのではないでしょうか。
自分の会社の先輩や上司を見ると、将来の自分の給料がほぼわかってしまいます。
現在40歳、50歳、定年前の社員の年収から大きく上を目指すことはできるでしょうか。
将来の自分の給料が分かってしまうなんて、希望がないと思いませんか?
卸売という事業構造上、決まったパイを奪い合う仕事になってしまうのですが、それでも経験と工夫で高いシェアを取ることに生きがいを感じる方以外、MSという仕事に固執する必要があるでしょうか。
MSがMRに転職する方法とは?
特に、現在20代から30代前半までのMSの方はMRへの転職を強く推奨します。
35歳を超えてしまうとMRへの転職は難しいかも知れません。
30代のMSでMRへの転職に興味がある方は少しでも早い方が良いと思います。
プライマリー領域の大型新薬が相次いで発売されていたひと昔前までは、MRを大量募集していましたのでMR未経験で35歳以上でも比較的転職しやすかったのですが、今では条件が厳しくなっています。
MSからの転職であっても、MR未経験だと直接製薬メーカーのMRへの転職は難易度が高いはずです。
そこで、未経験からのMRへの転職としてはやはりコントラクトMRを経て製薬メーカーへキャリアアップするというのが王道です。
まずはCSOの会社へ転職し、最低でも1年、通常2~3年コントラクトMRを経験してから製薬メーカーへ転職するという手順を辿る必要があることからも、少しでも年齢が低い方が有利になります。
年収はどのくらい上がるの?
卸売会社のMSから直接製薬メーカーのMRへ転職することができればそれに越したことはないのですが、現状では未経験者のMRの採用募集が珍しくなっており今後も増える可能性は低いこと、製薬メーカーは取引関係がある卸の社員を採用しづらいことなどがあり、ハードルが高くなっています。
そのため当ブロブでは、CSOに入社しコントラクトMRを「経由」して製薬メーカーの採用を勝ち取るという戦略を取ることを推奨します。
最低でも2度の転職をしなければならないことで様々な負荷がかかることはデメリットですが、複数回転職市場に出ていくことで年収アップできるというメリットもあり、若い方では特に高い上昇が期待できます。
具体的にどのくらい年収アップできるのかについて、モデルケースを記載します。
医薬品卸売会社の平均年収は前述した通り全世代で445万円で、全業種の中では比較的高めですが、メディカル業界の中では低くなっています。
卸売会社は全国卸と地場卸で待遇が大きく異なるようですが、20代の平均年収は415万円とされていますのでこの年収をベースにしてみていきましょう。
26歳 大手卸売会社MS 年収415万円
↓
大手CSOにコントラクトMRとして転職
↓
27歳 大手CSOコントラクトMR 年収460万円
↓
2年間製薬メーカーのプロジェクトにてMR活動
↓
外資系製薬会社にMRとして転職
↓
29歳 外資系製薬会社MR 年収680万円
このように、26歳前後でコントラクトMRに転職を決断し順調にいけば、30歳までに700万円前後の年収に到達することも十分可能です。
MSとしての業務や会社愛にこだわるのか、年収アップとチャレンジを求めるのかで将来が大きく変わりますよ。
まとめ
近年、CSO業界は需要が高く、各CSOの会社もコントラクトMRの増員を図っています。
未経験からのMR転職は大きなチャンスが到来しているのです。
MSとしてメディカル業界に携わり、MRの業務内容が把握できているのは大きなアドバンテージと言えるのではないでしょうか。
現役MRの私から見て、チャレンジ精神が旺盛のMSの方であれば、若いうちにMRに転職した方が将来性や生涯年収など多くの面で報われる可能性が高いと思います。
1人でも多くの転職に躊躇しているMSの方の背中を押すことができれば幸いです。
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