近年のテクノロジーの進歩は本当に目覚ましいものがあります。
近い将来、AIや他のIT技術の発達によってなくなってしまう職業も出てくると思います。
MRだって他人ごとではないと思います。
ただでさえ、インターネットで大半の情報は入手出来てしまう時代になっていますが、MRの将来はどのように見ていけば良いのでしょうか。
MRの将来を予想してみよう
日本の会社は外資系であれ内資系であれ社員の大多数は日本人が占めています。
そのため、昔ながらの日本の慣習が抜けきらない会社は非常に多いです。
いわゆる、新卒で会社に入社して定年まで一途に勤め上げるという日本独特の勤労美学ですね。
他にも、たくさん残業している方が良く仕事する社員として評価されるとか、外勤は疎かにしても内勤を一生懸命やっている社員が評価されるとか、日本独特の労働慣習って結構ありますよね。
これら日本の労働慣習は欧米では逆にネガティブに捉えられているものばかりです。
合理的な欧米人に比べて日本というのはまだまだ非合理的なことがたくさん残ってますよね。
しかし企業として合理性を追求しなくては、今後国際競争力を高めていくことはできません。
日本の高度経済成長期の終焉から20年以上が経っているにも関わらず、未だに非合理的な経営を続けている一部の内資系企業は長期的に成長することができず衰退していくでしょう。
合理性を追求していった場合、近い将来MRがどうなるかは以下のように予想しています。
MRの減少が長期化する
マンパワーが必要だったプライマリーケア領域から、製品力が勝負を決めるスペシャリティ領域の新薬開発に各企業は大きく舵を切っています。
MRの営業力がどうであれ、「良い製品は売れる、必要性の薄い製品はどうしたって売れない」製品が多くなると、マーケティングの観点からも「じゃあ営業人数は最低限で」ということに当然なります。
また、企業のコンプライアンスが非常に重要視されてきている時代ですので、営業側のリソースとしても競合他社を出し抜くような強力な手を打つことはほぼ不可能になってきています。
さらに、私が最近MRをしていて特に不安を感じるのは、AIやクラウドなどIT技術の進化によってMRでもアナログ的な部分というのはどんどん削減することができるようになって、必要とされる人数がかなり限られるようになるのではないかということです。
営業として工夫できる範囲が狭くなってきていることもあって、特に外資系の企業では顧客に対し一律のキーメッセージの伝達と予想されるQ&Aの対応をMRに課すようになっています。
このようなロボットのような営業であれば、インターネットやAIで代替が可能ですよね。
むしろ人間のMRよりもAIやインターネットの方が、相手に伝わるかどうかは別としても正確かつ確実にメッセージを伝達してくれます。
以上の理由から、MRは今後増加する要素は見当たらず長期的に減少が続いていくと予想されます。
平均年収が下がる
MRが継続的に減少していくと、残ったMRの分け前は増えて年収が上がる・・・なんてことには当然なりません。
拡大路線を辿って今までMRを増やし過ぎた会社の多くは、今後MRの削減を図る必要性が高いですが内資系企業の日本人社長などはなかなか大胆なリストラを実行することができませんので、適正な数までMRを削減することはできないでしょう。
そうなると、一人当たりの年収を下げていくしかコストを抑える方法はありません。
基本給を下げるのは労働基準法に触れる可能性があることからなかなか簡単ではないため、まずは家族手当や時間外手当から始まって、住宅補助や日当、最後は賞与や定期昇給など順番に削減されるでしょう。
ただ、全ての会社がそうかというとそうでもありません。
時代のニーズに合った製品を開発できる企業は今後も成長していきます。
当然、そのような会社のMRは今後も高い年収を維持することができるはずです。
つまり、MRにおいても「格差」が大きくなっていくのです。
福利厚生がシンプルになる
上記の予想と連動する部分もありますが、要するに社員の報酬がシンプルになっていくということです。
今まで製薬業界では、「手厚い住宅補助や借り上げ社宅」「1日¥3000前後の営業日当」「高額な家族手当」などが当たり前だったため、他の業界と比較しても見入りが多かったのですよね。
しかし、これらの課税されない給与はいつか課税される形にされるだろうというのはずっと前から議論されています。
実際、欧米の外資系企業では日本法人でもそのような福利厚生を改定し、課税の支給方式にする会社は増えてきています。
経過措置を設けながら家賃手当を廃止したり、営業日当を課税の営業手当に移行したりしていますよね。
コテコテの日本企業であるほど、給与明細にはよくわからないけど色んな名称の手当がズラリと並んでいますが、それらは要するに社員への「報酬」ですので課税すべきという流れになるでしょうし、そもそも非合理的に見えます。
一生懸命に仕事をして成果を出した社員に多くの報酬を支払うというのが合理的な報酬制度の考え方になります。
日当や家賃手当に頼るのは早めに止めた方がいいかも知れませんよ。
MRの将来を見据えて考えよう
コンプライアンスの観点や費用対コストの観点などからこんな風にになっていく可能性は高いと思います。
そこで我々はどうすればよいのでしょうか。
何もせずに待っているわけにはいきません。
今から少しずつ、自分に何ができるのか、強みを一つでも増やしておくべきです。
また、上記の予想どおりになりそうな会社に所属している人は、より今後について深く考える必要がありそうです。
1社に留まって同じ仕事を続けるのか、転職して違う社内文化、販売戦略、プロモーション方法を学ぶのかで違ってくるはずです。
逆に1社しか知らないというのは、年齢によってはチャレンジ精神がない人物と判断されてより転職が困難になっていきます。
これからも医薬品業界は大きな変化が続くと思います。
その変化に備えるべく、人に負けない強みをコツコツ作っていきましょう。
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