MRのリストラ

イーライリリーのリストラ実施で業界が震撼している理由とは?

MRのリストラ

こんにちは。

現役MRのリョウタです。

なんとなくウワサでは聞いていましたが、改めてビックリしました。

まさか業績絶好調のイーライリリーが早期退職を実施するなんて。

ここ数年はいろんな製薬企業がMRを対象にした早期退職を実施していますが、一番驚いたかもしれません。

私同様に驚いた方も多いとは思いますが、イーライリリーの早期退職になぜ皆が驚くのかについて確認してみたいと思います。

イーライリリーの早期退職の概要

その前に、イーライリリーの早期退職募集の概要について聞いた話をまとめてみます。

【イーライリリーの早期退職の概要】

対象部署:営業部門の全社員(とはいいつつもほぼMRという感じ)

対象年齢:35歳以上

対象人数:MR 180名 管理職 40名

退職金:年齢や在籍年数によって違うが36ヶ月前後

退職日:2020年12月末

聞いた話によると、計画した人数を大幅に下回った場合にはPIPによるリアルな肩たたき(追い出し)が拡大する可能性が高いということが社内で囁かれているそうです。

年齢が高めで数字があまりよくないMRは、早期退職に応募すれば退職金の割増はもらえるが次の会社を決めるのが難しい、しかし応募せず残って少し延命したとしてもPIPで追い出しをくらうと割増しもなしに退職せざるを得なくなるというのでめっちゃ悩んでいるとのことでした。

早期退職で割増退職金をもらって辞めても地獄、残ってもこれまた地獄というのが特に外資系の早期退職あるあるなんですね。

イーライリリーの早期退職がビックリな理由

まずイーライリリーが早期退職を実施すると聞いてビックリな理由としては、今回が初実施ということですね。

イーライリリーは1975年に日本法人を設立していますので、外資系製薬メーカーとしてはかなり老舗の部類に入るんじゃないかと思います。

しかしこれまでほとんど業績が右肩上がりだったこともあって早期退職を実施したことがなかったので、業界に15年以上いる私でもイーライリリーがリストラをやるイメージが全くなかったんですよね。

まあ、PIPを早くから導入していたと思いますので、肩たたきみたいなリストラはあったと思うんですが、それはまったくない外資系を探す方が難しいですから。

また、イーライリリーは2008年くらいまではMRが900人くらいでしたし、それからは常にMR増員の募集をやっていたイメージしかないくらいMRを増やし続けていましたから、いきなり感が強いです。

たしかに、イーライリリーのMR数は現状1700名と業界トップクラスの数です。

しかし、ラインナップとしては1剤で売上の5割とか6割とかというような偏りがなく、数百億を売り上げるコア製品が複数あるという製薬会社では理想の経営環境になっている数少ない製薬企業ではないかと思います。

下記の表はイーライリリーの2019年の製品別の売上高と前年比です。

製品名2019売上高(億円)対前年比(%)
サインバルタ610.999.0%
サイラムザ484.589.3%
フォルテオ435.79-11.5%
トラゼンタ381.53-1.6%
アリムタ369.9911.3%
トルリシティ284.3833.3%
ジャディアンス222.8930.5%
ストラテラ155.3-46.7%
ザルティア151.3413.1%
ジプレキサ130.1-26.9%
ヒューマログ・ヒューマリン121.96-6.4%
ベージニオ103.873561.5%
オルミエント87.26278.3%
ヒューマトロープ77.78-3.3%
トラディアンス64.47474.6%
トルツ55.756.4%
エビスタ53.37-23.0%
インスリングラルギンBS注「リリー」44.497.5%

100億円以上の売上をあげている製品が実に12剤もあります。

パテントがある製品は全て売上が伸びていますし、新製品も堅調に伸びています。

これほど分散され安定した製品ラインナップを持っている会社は少ないんじゃないでしょうか。

たしかに最も売上が高いサインバルタが2021年にジェネリック化しますし、フォルテオも持田製薬からバイオシミラーが発売されたので売上は減少していくと思われます。

しかし他社だとこのくらいの変動はリストラをするほど問題視されないレベルなんじゃないかと思います。

それに、イーライリリーはフェーズ3以降の開発品を見ても非常に潤沢です。

開発品名適応症開発段階
インスリンリスプロ(遺伝子組換え)インスリン療法が適応となる糖尿病発売済
グルカゴン点鼻粉末剤低血糖時の救急処置発売済
galcanezumab片頭痛発作の予防申請済
バリシチニブアトピー性皮膚炎フェーズ3
イキセキズマブ体軸性脊椎関節炎フェーズ3
ラムシルマブ非小細胞肺がんフェーズ3
olaratumab軟部肉腫フェーズ3
バリシチニブ全身性エリトマトーデスフェーズ3
バリシチニブ若年性特発性関節炎フェーズ3
バリシチニブ円形脱毛症フェーズ3
mirikizumab潰瘍性大腸炎フェーズ3
mirikizumab尋常性乾癬フェーズ3
mirikizumabクローン病フェーズ3
タダラフィル肺動脈性高血圧症(小児)フェーズ3
tizepatide2型糖尿病フェーズ3
tizepatide肥満または併存疾患を有する過体重フェーズ3
アベマシクリブ乳がんの術後補助療法フェーズ3
ソラネズマブアルツハイマー病フェーズ3
selpercatinib非小細胞肺がんフェーズ3
selpercatinib甲状腺髄様がんフェーズ3

今年もすでに2製剤が発売され、1剤が申請されています。

一気にブロックバスターになるような新薬候補は多くありませんが、プライマリー薬から抗がん剤や希少疾病薬までありますので今後も安定した売上を上げられる可能性が高いように見えます。

直近は売上が下がったとしても、これらの売上で充分カバーすることが可能なように見えますが・・・。

いくらなんでも、ここまで業績が右肩上がりの会社が数百人規模のリストラするなんて、なんか異常な感じでびっくりですね。

最近は中外製薬といい今回のイーライリリーといい、業績が好調にもかかわらず次の展開を見据えて大量リストラをするという新しいモデルケースになりそうです。

ちなみに、下記がグローバルでのイーライリリーの長期株価推移です。

数ある製薬会社の株価の中でもトップクラスの上昇をしています。

リーマンショックで下がった2008年末から2020年9月までだと、株価はおよそ5倍に上昇しています。

2008年くらいから日本イーライリリーのMRの大増員がはじまりましたが、その頃に入社したMRの方たちが今回のリストラで退職することになれば、株価の底で入社して史上最高値付近で退社することになるんですね。

今後、製薬業界ではこんな感じのリストラが増えていきそうな気しかしませんね。

特に外資系では日本の市場が実質的に縮小していくことを織り込みにいきますし、新型コロナの影響やSOV(シェアオブボイス)の終焉、抜本的薬価制度改革、フォーミュラリー普及などを複合的に考慮するとサイズダウンは自然な流れになっていく可能性が高いですね。

中外製薬や今回のイーライリリーのリストラはそのことを裏付けているのではないでしょうか。

全く他人ごとと思えないからイーライリリー以外のMRがみんなこれほど驚くんですよね。

しかしそういうリストラの仕方って、なんか会社の肥やしにされた感があって嫌な感じがするのは私だけでしょうか?

世の中そんなもんかもしれませんが、一つ言えることはMRだけやってちゃいけないってことですね。

MR以外でもお金を稼げるスキルを日々磨いていきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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