こんにちは。
現役MRのリョウタです。
先日「日本ケミファの早期退職に感じた違和感とは?」という記事で、日本ケミファの早期退職は5年間ほぼ右肩下がりの売上、営業利益という結果を受けてのものだということを指摘しましたが、そうすると「製薬会社で似たような状況の会社はないのか?」ということが気になりますね。
なので、同じように何年もまともに増収・増益をしていない会社を調べてみることにしました。
製薬会社は基本みんな株式を上場していますので、何年も売上や利益が伸びないというのは非常にまずい状況です。
少しでも利益を確保するためには、日本人が苦手な「人員削減」に手をつけなければならない状況になります。
そういう状況の会社はどこなのかを思い切ってご紹介することにより、その会社のMRの方もある程度リストラがあるかもしれないということを考えておくことができるのではないかと思います。
MRのリストラがあっても不思議ではない会社
日本の医薬品市場は平成元年の約5兆円から30年で約10兆円と2倍になりました。
ここ5年ほどはかろうじて横ばいから微増で推移してきましたが、今後は人口の減少や政府による薬価制度改革によってまず間違いなく減少していくと予想されています。
製薬各社はそのことを予測し、国内のビジネスを少しずつ縮小させながら海外に活路を見出していこうとしています。
しかし、新薬の開発は年々難易度が上がっており、自社での開発となると最低200~300億円以上の研究開発費と10年以上の年月が必要といわれているため、すんなりとこの流れに乗れる企業ばかりではありません。
どこが最も波に乗れていないのか。
私が見る限り、キョーリン製薬だと思います。
キョーリン製薬の直近5年間の業績推移を見ると、売上・利益ともに減少を続けています。
5年間の売上の推移はこちら。
【キョーリン製薬 売上高5年推移】
続いて本業の儲けを示す営業利益。
【キョーリン製薬 営業利益5年推移】
正直、上場企業としてはかなり危機的な状況なのではないかと思います。
投資家としては5年間利益が減り続ける企業の株式を保有するのはかなり地獄です。
主要製品の売上推移をみても現在の主要製品はほとんどが導入品であり、自社開発品のキプレスやムコダインのパテント切れからなんとか導入品とAGでカバーしようとしている状況です。
【キョーリン製薬の主要製品 売上推移(単位:億円)】
製品名 | 2016/3 | 2017/3 | 2018/3 | 2019/3 | 2020/3 |
フルティフォーム | 72 | 101 | 119 | 131 | 146 |
デザレックス | – | 10 | 49 | 37 | 26 |
ベオーバ | – | – | – | 7 | 43 |
ラスビック | – | – | – | – | 11 |
ウリトス | 75 | 75 | 72 | 66 | 58 |
ペンタサ | 161 | 155 | 153 | 135 | 133 |
ナゾネックス | – | – | – | 128 | 60 |
キプレス | 441 | 327 | 188 | 139 | 118 |
ムコダイン | 130 | 99 | 87 | 68 | 58 |
モンテルカスト錠「KM」 | – | 82 | 117 | 119 | 115 |
モメタゾン点鼻液「杏林」 | – | – | – | – | 28 |
自社開発品が少ないことが原因で営業利益率も7~8%と製薬企業としては非常に低い状況が続いています。
さらに、新薬開発についてもあまり芳しくない状況です。
フェーズ3以上の開発品については、すでに申請済みの製品が2つのみです。
【キョーリン製薬 フェーズ3以上の開発品】
開発段階 | 製品名・開発コード/ 薬効 | 起源 |
申請(19年10月) | KRP-AM1977Y(注射剤)/ キノロン系合成抗菌剤 | 自社 |
申請(20年3月) | KRP-116D/間質性膀胱炎 | – |
この他、喘息治療配合剤のフルティフォームの小児適応追加を2020年6月に承認取得しています。
2剤とも自社開発品であるため利益率は高いですが、これらの新薬が業績を劇的に回復させるパワーがあるかというと難しいのではないでしょうか。
こういう状況にもかかわらず、キョーリン製薬のMR数はずっと750名前後で推移しており、大きく減少したことがありません。
キョーリン製薬のMRに聞いたことがあるのですが、社長が社員のリストラをしないことを社内で公言しているとか。
私がその話を聞いたのはもう10年くらい前の話ですので参考にならないかもしれませんが、たしかにキョーリン製薬はリストラを公表したことがありませんので、社長の決意は続いているのかもしれません。
キョーリン製薬は海外売上高も現時点でほぼゼロに等しいですので、すぐに業績を回復させるのも難しいのが現状です。
2020年の売上予想は少し改善が予想されていますので、ここから業績回復に持っていくことができれば良いのですが、長期的に業績を成長させていけるかどうかは不透明です。
それを考えても、売上規模から考えて多すぎるMRを削減したり、支店や営業所を廃止・統合するということを考えなければならない段階に来ているのではないかと思います。
まとめ
キョーリン製薬のMRの方がこの記事を読んでくれていたら、不快な思いをさせてしまったかもしれません。
しかし、これだけ各社が業績の良し悪し関係なくMRを削減しまくっている状況を考えると、業績が思わしくないのにMRの数をキープしていると不自然にすら思えます。
キョーリン製薬はここ数年の業績が製薬業界の中でかなりよろしくないですので、中にいるMRの方はもしもの時のことも考えておくべき会社なのかもしれません。
今はMRの転職の募集も少ないので対策も立てにくいですが、早期退職の発表は応募期限まで1ヶ月前後しかないことが多いですので、もしも早期退職が発表されたら応募するかどうかを考えておく必要はどの会社のMRにもあると思います。
終身雇用の崩壊は加速度的に顕著になってきていますが、1つでも多くの選択肢を作れるように日々自己研鑽をしていくしかありませんね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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