こんにちは。
現役MRのリョウタです。
最近は国内の医薬品業界も、他の業界に一足遅れて
厳しさを増していますよね。
これまでは、生活習慣病治療薬の爆発的な需要と
先発品志向に守られていたこの業界ですが、
これからは違います。
業界が縮小する要素としては、
人口減少、後発品の促進、薬価抑制政策、
フォーミュラリーの普及、プライマリー薬のOTC化・・
などなど、あげたらキリがありません。
そもそも、日本の医療は費用対効果を無視して
医療費を湯水のように使いすぎですしね。
日本の医薬品業界が縮小していく中で、会社の戦略としては
当然海外に目を向けていかなくてはいけませんね。
それができるかどうかで、会社の未来が大きく変わります。
日本のトップ10に入るような大手では、ほぼ海外が好調です。
しかし、国内中堅クラスではこれがマチマチなんですよね。
これが会社の将来にどう影響してくるのでしょうか。
今回は内資系の中でも中堅クラスの主な製薬会社に
焦点をあてて書いていこうと思います。
目次
株価イコール投資家の期待値
MRのみなさんは自社の株価を見てますか?
また、同じくらいの売上高の同業他社と比較して
見てみることはあるでしょうか?
株に興味がない方は、あまりないかも知れませんね。
会社を所有しているのは株主ですから、自分の会社の
価値や将来性を判断するには、長期的な株価の推移を
見るのが一番手っ取り早いはずです。
さらに、同業他社と比較することで、
自分の会社の評価を相対的に見ることができますね。
だから、自分の会社の評価を知りたい方は、
ぜひ一度見てみることをおすすめします。
「〇〇製薬 株価」とググれば、Googleが
トップに掲載してくれます。
6か月や1年のチャートではないですよ。
チャートの表示期間を「最大」にすると、
たいてい20年くらいの期間で見られます。
この20年間、自分の会社の価値が上がっているのか、
たいして上がっていないのかを見るだけで、
じゃあ今後はどうなのか?というのも予測しやすくなりますよ。
主な内資系中堅製薬企業の株価の推移を、表にまとめておきました。
2000年1月から10年ごとの時点での株価を記載しています。
ほんとはチャートを表示できれば良いのですが、
著作権なんかの関係で自作の表でカンベンしてください(笑)。
会社名 | 2000年1月株価(円) | 2010年株価(円) | 2020年1月株価(円) |
あすか製薬 | 780 | 653 | 1,274 |
旭化成 | 540 | 482 | 1,194 |
科研製薬 | 1,192 | 1,552 | 6,040 |
キッセイ薬品 | 1,613 | 1,875 | 3,130 |
キョーリン製薬HD | 2,440 | 1,366 | 1,928 |
ゼリア新薬 | 846 | 773 | 2,107 |
鳥居薬品 | 2,690 | 1,744 | 3,285 |
日本新薬 | 554 | 1,103 | 9,850 |
久光製薬 | 636 | 3,190 | 5,600 |
明治HD | 1,650 | 1,775 | 7,540 |
持田製薬 | 1,493 | 2,098 | 4,445 |
※できるだけ近い日で記載していますが、株価の計測日が各社によって少し違います。
※株式の分割や統合は考慮していません。
12社分が限界でした(笑)。
載ってなかった会社の方ごめんなさい。
悪意はありませんよ。
載ってる会社も、より詳しく見たい方は
検索してみてくださいね。
「〇〇製薬 株価」ですぐに出てきますから、
手間はかからないです。
表から透けて見える会社の未来
ではまとめた表を見ていきましょう。
株価は、国内全体の株式市場の盛り上がりや、
そのときの政治状況、景気状況、
イベント(今なら新型コロナウイルス感染など)、
大口の株主の売買などで上下しますので、短期的に
見てしまうとブレ幅があってわかりにくいです。
でも、このくらい長期で見てみると、会社が
成長してきているかも見えますし、今後どうなりそうか
というのもなんとなく予想できますよね。
株価が長期で大きく伸びている会社は、
しっかりとした業績を長い間出し続けてきているわけで、
今後一時的な低迷などがあったとしても
再び乗り越えていける可能性は高いです。
そういう経営マインドがしっかり根付いて
いるんだと思います。
株価が伸びていない会社は、長期的にあまり売上や
利益が伸びていないのと、業績が少し伸びても
どこかに投資家の不安要素というのがあって
期待しにくいんだと思います。
たとえばこの2社の株価推移の比較
たとえば、キョーリン製薬だと、直近の
6か月で見ても、直近の10年で見ても株価は
上昇しているのですが、20年間で見るとあまり
変わっていないか、少し下がっているくらいですね。
逆に、日本新薬はこの20年間で株価は約18倍!
株価パフォーマンスにかなりの差がついています。
この2社の時価総額は、2000年時点では
キョーリン製薬の方が大きかったんですが、
今では日本新薬がキョーリン製薬の約5倍あります。
これが株主が見ている現在の両社の価値です。
どのくらい伸びていたら将来も安泰かとか、そんな
具体的な数値の指標はありませんが、20年間
あまり株価伸びてない会社って・・・。
ちょっと先のことについて、考えた方が良いかも
知れませんよね。
利益を圧迫するMRという名の人件費
国内中堅クラスの企業もほぼ全てが東証一部上場企業ですから、
長期的に業績を伸ばしていって、株主の利益に貢献するのが
大きなミッションの1つだということは言うまでもありません。
そのミッションにこれほど大きな差がつく理由はなんでしょうか。
もちろん、自社開発で売れる製品を上市できているかどうか
というのが一番大きな要因になるんでしょうが、
もう一つの大きな要因の一つは経費です。
経費にもいろいろありますが、最も大きな経費と言えば、
言うまでもなく「人件費」ですね。
代表的な人件費は研究開発と営業です。
まあ、ここはMRのブログなので、ここでは営業の経費を
取り上げたいと思いますが、やっぱり
MRの人数が適正かということが大きなカギになってるんじゃ
ないでしょうかね。
たとえば、先ほどの2社ですが、2018年の売上高は
ほとんど同じなんですが、
営業利益率に2.3倍の開きがあります。
会社名 | MR数(名) | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 営業利益率 |
あすか製薬 | 270 | 46,706 | 1,782 | 3.8 |
旭化成 | 670 | 135,500 | 18,400 | 13.6 |
科研製薬 | 740 | 94,165 | 24,592 | 26.1 |
キッセイ薬品 | 640 | 72297 | 6,202 | 8.6 |
キョーリン製薬HD | 750 | 113,620 | 8,972 | 7.9 |
ゼリア新薬 | 200 | 61,831 | 3,737 | 6.0 |
鳥居薬品 | 530 | 62,551 | 4,951 | 7.9 |
日本新薬 | 670 | 114,716 | 20,644 | 18.0 |
久光製薬 | 1200 | 143,408 | 22,278 | 15.5 |
明治HD | 880 | 198,600 | 14,200 | 7.2 |
持田製薬 | 700 | 109,643 | 10,590 | 9.7 |
MR数も売上高もほぼ同規模の両社ですが、
営業利益だけが大きく違っています。
株価が動く要因はもちろんこれだけではありませんが、
1人あたりのMRが上げる利益にこれだけの差があると、
やっぱり人件費かけ過ぎって思われちゃいますよね・・・。
将来性が見える海外売上高比率
冒頭でもお伝えしましたが、日本の市場は様々な要因で
今後も縮小していきますので、日本の会社は
海外に活路を見出していかなければ
成長していくわけありません。
そんなことはどこの会社もとうの昔にわかっているはずですが、
内資系メーカーの海外売上高比率は売上高が高い会社ほど高く、
低い会社ほど低くなっているんです。
たとえば、武田薬品の2018年の海外売上高比率は約73%もあります。
しかも、シャイアーの買収によって今後は更に高まるでしょう。
比較すると、中堅の科研製薬やキッセイ薬品、
キョーリン製薬らは10%以下ですし、あすか製薬や
持田製薬なんかはほとんど海外での売上がない状況です。
会社名 | 海外売上高2018(億円) | 売上高比2018(%) | 海外売上高2017(億円) | 売上高比2017(%) | 海外売上高2016(億円) | 売上高比2016(%) |
あすか製薬 | ||||||
旭化成 | 448 | 33.1 | 428 | 29.8 | 390 | 29.1 |
科研製薬 | 90 | 9.5 | 71 | 7.2 | 72 | 7.1 |
キッセイ薬品 | 62 | 8.5 | 83 | 11.3 | 63 | 8.8 |
キョーリン製薬HD | 8 | 0.7 | 33 | 3 | 8 | 0.7 |
ゼリア新薬 | 176 | 28.5 | 170 | 26.3 | 159 | 24.6 |
鳥居薬品 | ||||||
日本新薬 | 229 | 20 | 150 | 14.8 | 177 | 17.9 |
久光製薬 | 440 | 30.7 | 441 | 29.8 | 410 | 28.1 |
明治HD | 410 | 20.6 | 39.4 | 23.4 | 387 | 23.9 |
持田製薬 | n | n |
こう見ると、中堅企業の国内依存はホントにヤバいですね・・・。
このままだと、だれが見ても泥船です。
ただ、これらの中堅クラスも既に海外事業展開に
取り組んではいますし、国内の減少をカバーできるくらい
海外が伸びてくれば、
今からでも遅くはないかも知れません。
自分の会社の将来に関心を持つこと
そういう感じで、特に国内中堅クラスでMRやっている方は、
会社の長期株価の推移やこの先の海外展開の状況をみて
長く勤めても良さそうなのかを注視しながら
やっていくのが良いと思います。
突然ブロックバスター候補が大手からコプロで
降ってくるのを期待していても仕方ないですしね。
そろそろ海外売上比率が伸びて来ないようなら・・・
その時は、転職を考えた方が良さそうです、ほんとに。
でも、その時に探し始めたのでは遅いので、
どちらにしてもとりあえず、今のうちから何社かの
エージェントをつかまえて情報収集しておいた方が良いですよ。
私は転職を決める数年前から10社くらい登録して
エージェントと電話したり、会ったりしてました。
今、以前に比べると少しMRの募集案件も
戻ってきているようです。
割と案件を多く持っているところや、独占案件を
持っているところをいくつか並べておきます。
JAC Recruitment
ランスタッド
BIZREACH
doda
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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