こんにちは。
現役MRのリョウタです。
先日、JCHOの医薬品入札に関する談合事件で大手卸3社が刑事告発されました。
この談合には大手卸4社ともに参加していたのですが、1社だけ刑事告発されることはありませんでした。
今後2年間は刑事告発されなかったその1社がJCHOの売上をほぼ独占することになるかと思われたのですが、そうでもなさそうです。
では、どこの卸が漁夫の利を得ることになるのか?
今回は、そのことに関して思うことを記事にしたいと思います。
JCHOが刑事告発された卸3社に対し指名停止措置
先日、JCHOの医薬品入札で談合を行っていた大手卸4社(メディセオ、アルフレッサ、スズケン、東邦薬品)のうち、メディセオ以外の3社が独占禁止法違反で刑事告発されました。
その時に書いた記事はこちらですので、もしよろしければどうぞ。
なぜメディセオだけが刑事告発を免れることができたかというと、課徴金減免制度(リニエンシー)を利用して、この談合に関わったことを自己申告したからでしたね。
独占禁止法違反にはこの課徴金減免制度があるので、たとえ知っていて談合に関わったとしても、刑事告発される前に自己申告していれば刑事告発をされなかったり、されても罰金が減免されたりするケースがあります。
大手卸4社の中でメディセオだけがこの制度を迅速に利用し、刑事告発を逃れることができたというワケです。
刑事告発され、起訴されて刑が確定すると社会的にも信用を失いますし、行政処分と刑事罰の両方で罰金を支払わなくてはならなくなり、その金額はおそらく億単位になりますから、ダメージはかなり大きくなります。
しかもその上、JCHOが刑事告発された卸3社に対し、指名停止措置を講じたと発表しました。
指名停止措置とは、医薬品の入札に参加させないようにする措置のことです。
JCHOの場合は停止措置は2年間だそうなので、大手卸3社は今後2年間JCHOの入札に参加する権利を失います。
それなら、起訴を免れたメディセオだけが引き続き入札に参加できるのかというと、その可能性も低そうです。
たしかにメディセオは起訴されることは免れましたが、JCHOはメディセオによる独占禁止法違反行為の事実を公正取引委員会が公表した場合、同様に指名停止措置を講じると発表しています。
メディセオは思いっきり談合に参加していましたので、起訴は免れても独占禁止法違反があったことを公表しないということはないと思われます。
なので、メディセオもJCHOの入札には2年間参加できなくなる可能性が大きいです。
さらに、ここからがヤバいのですが、JCHOの契約等指名停止措置要綱には、契約中の会社が起訴されたときには速やかに指名停止をかけることが定められています。
それで、このような契約等指名停止措置を規定に定めているのは、なにもJCHOだけではないということなのです。
公的医療機関の多くはJCHOと同様に規定されているようですし、民間医療機関でも規定しているところはあると思われます。
そういったところが、今回の起訴を受けて、大手卸4社を同様に指名停止措置にすることは充分に考えられます。
医薬品の入札制度を採っている全国の主要医療機関から、数年間ものあいだ大手卸4社が締め出される可能性が出てきているのです。
数億円の罰金とJCHOからの売上が数年間途絶えるだけでも、卸にとってはけっこうな痛手ですが、全国的に波及していくと相当なダメージになることが予想されます。
4社の株を持っている人がいたら、売却しておいた方がいいかもしれませんね(笑)。
地場卸の大チャンス到来
逆に、今まで大手卸に対して辛酸をなめてきた地場卸に大きなチャンスが到来したことは明らかですね。
JCHOはこの談合事件を受けて、全国57病院の本部一括入札をやめて、各病院ごとの入札に切り替えています。
これまでの本部一括入札のときは、全国に納入できなければ入札する資格がなかったため、実質的に地場卸には参加資格はありませんでした。
しかし、個別病院で入札が行われるようになると、地場卸も大手を振って参加することができるようになります。
0だったところからいきなり売上が見込めるようになり、しかも2年間は大手4社が参加して来ないとなると、地場卸にはかなり大きな売上がプラスされるようになります。
地場卸が少ない地方などは、1社でほとんどのシェアをとる可能性もあるんじゃないかと思います。
支店長にお祝いメールしとこ(笑)。
まとめ
メディセオはリニエンシーによって独占禁止法違反を自己申告したことで刑事告訴を免れましたが、そのおかげでJCHOの入札には引き続き参加することができるかに思われました。
しかし、JCHOは起訴されていなくても、公正取引委員会がメディセオの違反を公表すれば同様に指名停止措置を講じると発表したことで、他の大手卸と同様に2年間入札に参加できなくなる可能性が高くなりました。
おまけにJCHOは、今までの本部一括入札から個別の病院ごとに入札を実施することにしたため、一気に地場卸に大チャンスが回ってきています。
しかも、指名停止措置は全国の公的病院や民間病院が定めている可能性があるため、今後地場卸の売上が伸びて大手卸の売上が悪くなる可能性が出てきました。
実際、大手卸の社員であるMSさんたちには気の毒ですが、代わりに地場卸のMSさんたちにとっては成績が上がって良い思いができる機会が出てくるかもしれませんね。
どこの業界でも、寡占市場での入札には必ず談合がつきもののような気もしますが、これをきっかけに医薬品業界の体質も変わっていくといいなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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