こんにちは。
現役MRのリョウタです。
少し前に「新型コロナの治療薬として急浮上してきたリウマチ治療薬」でリウマチに使用されている生物学的製剤のうちのいくつかが、新型コロナウイルス感染症の重症化に対して効果があるかもしれないと言われていることを記事にしました。
新型コロナウイルス感染症の重症化例に対して抗リウマチ薬が有望である可能性があり、各メーカーが臨床試験を開始していますが、同種の薬剤でも新型コロナウイルスに対する効果に差が出てきているようです。
前回の記事から時間がたっていませんし、まだこれらの薬剤の臨床試験は進行中ですので最終的な結果はどうなるかわかりませんが、作用機序から新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐためには欠かせない治療薬になり得ると個人的には思っています。
今回はこの件について報告していきたいと思います。
ケブザラは重症例のみに効果か

IL-6のレセプターに対する抗体製剤のトリシズマブ(アクテムラ)とサリルマブ(ケブザラ)の2つの試験はまだ終わっていませんが、中間解析では少し違った結果になってきていると報じられました。

サリルマブについては前回書いた上記リンクの記事では記載していませんでしたが、3月から米国で臨床試験が開始されているようですね。
続いて4月から開始されているグローバル臨床試験では300例以上が登録されているようですのでなかなかしっかりした試験になるのではないでしょうか。
サリルマブに関するこれらの試験には重症例以外の群についても試験が行われていたようですが、結果としては重症例にしか効果は得られなかったようですね。
これを受けて、どうやら次は600例の重症例を組み入れて第3相試験を行うようです。
アクテムラは幅広い症例に効果か

一方、ケブザラの試験結果に対してアクテムラは違った結果になっているようですね。
129例の若干小規模な臨床試験ではありますが、比較的軽症のグループから重症例まで良い結果が得られていると報じられています。
ただしアクテムラのこの試験はまだ公に結果を公表されているわけではなく、今後どうなるかは全く不明です。
追加の試験結果を確認する必要があると締めくくられていました。
まとめ

新型コロナで重症化するメカニズムとしては、肺に強い炎症反応が起きることによって引き起こされるサイトカインストームにIL-6が関与していることが明らかになっています。
これを最も防いでくれる可能性があるのはもちろんIL-6受容体を遮断してくれるこれらの薬剤ですので、どちらの薬剤も重症例に対して期待されることに変わりはないと思います。
これら生物学的製剤が軽症例にまで効果が得られる必要はそこまであるのかは定かではありませんが、まずは高い確率で死に至ってしまう重症例に対して選択肢が一つでも増えることは大変良いことではないかと思います。
ケブザラの試験は6月末までには結果が報告されるようですし、アクテムラはグローバル第Ⅲ相試験に加えて国内でも治験が行われていますので非常に期待が持てます。
レムデシビルは5月にも承認される可能性が出てきていますし、これらのリウマチ治療薬も良い結果が出て、とりあえず「重症化して死なない病気」になってくれれば元の経済活動を取り戻す大きな一歩になるかもしれませんね。
各製薬会社には頑張ってほしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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