近年、CSO企業は多くの製薬企業との契約を獲得しており、様々なメーカーでコントラクトMRの活躍が目立ちます。
シェア・オブ・ボイスが売り上げアップのカギと言われていた時代はプライマリー領域の新薬の枯渇によって過ぎ去り、製薬メーカーは多くのMRを自前で揃える必要性が急激に低下しています。
そのような中、必要な時に必要な数を揃えられるコントラクトMRは今後ますます需要が高まっていくことが予想されています。
コントラクトMRとはどんな職業なのか、またコントラクトMRの人は今後どのような視点でキャリアアップを考えていけばよいのかを中心に、CSO企業への転職に興味がある人に向けて記事にしました。
この記事がコントラクトMRへの転職を考えている方の情報収集のお役に立てれば幸いです。
目次
今さらだけど、コントラクトMRって何?
コントラクトMRについて知らない方に向けて念のためご紹介します。
コントラクトMRとは?
コントラクトMRとは、CSO(Contract Sales Organization)企業に所属するMRのことです。
CSO企業は製薬企業と契約を結び、MRをアウトソーシングしています。
コントラクトMRはアウトソーシング先の製薬企業のMRとして、正社員と同じようにMR活動を行うのです。
コントラクトMRは不安定な職業?
現在、MRとして仕事をされている方はコントラクトMRの存在を知らない方はいないと思いますが、中にはコントラクトMRの雇用形態まで派遣社員だと思っている方もいるのではないでしょうか。
コントラクトMRは製薬企業にとっては派遣社員ですが、CSO企業では基本的に正社員として雇用されています。
そういうコントラクトMRは製薬メーカーと同じ「正社員」なんですね。
ただ、CSO企業は同じ会社でも複数の雇用形態をとっている企業もあります。
MR経験者が転職した場合、40歳代前半までは正社員の契約でそれ以降は契約社員というCSO企業があったり、未経験者は契約社員で入社してMR認定試験合格したら正社員になれるという雇用契約もあるようです。
さらに、コントラクトMRは原則すべて契約社員での雇用というCSO企業もあります。
コントラクトMRとして活動するには、どこのCSO企業に入社するかによって、どこの製薬メーカーに配属されるかというのはもちろんですが、給与などの待遇や正社員になれるかどうかまで変わってきます。
製薬メーカーに転職するよりも詳細なポイントまで確認する必要がありそうですね。
コントラクトMRの業務実態
コントラクトMRの特徴としては、様々な製薬企業でのプロジェクトに参画しながら幅広い製品知識や営業スキルを学ぶことができるため、大きな魅力があると思います。
またその延長には現場のマネジメント職や本社業務のキャリアも見据えることができます。
さらに業務自体は製薬企業のMRと同じですので、経験値を積んで製薬企業に転職することも可能です。
実際に周りにはMR未経験からコントラクトMRになり、1~2年経験を積んでから製薬企業に転職した知り合いが何人もいます。
なぜコントラクトMRは増えているの?
2016年のコントラクトMR数は約3800名で年平均10%程度増加しており、全体的なMR数が減少している中で増加傾向にあります。
またCSOを活用している企業も年々増加しており、現在は100社を超える製薬会社と契約しています。
しかし、欧米先進国でコントラクトMRの割合は全MRの中の10~30%であるのに対し、日本ではまだ6%に過ぎず、新薬の領域専門化や製薬会社のニーズの多様化に伴って、今後CSOを活用する企業が増えてくることが予想されています。
一昔前までは、コントラクトMRは定年前後の人や勤務地限定で働きたいMRが所属していて給料や福利厚生も製薬企業のMRと比べると良くないというイメージでしたが、近年では人気化しており、内定を獲得するのも以前に比べると難しくなっているようです。
コントラクトMRの年収
近年CSO市場規模が拡大し続けており、各企業とも業績は好調のようです。
現在のところ、大手CSO企業のコントラクトMRの年収は平均で500万円~700万円くらいと言われていますので、国内中堅製薬企業と同じくらいではないでしょうか。
しかし、製薬企業の正社員と比べると福利厚生などが違うため、総合的な待遇としてはまだ製薬企業に所属している人の方が良いと思います。
ただ、将来のキャリアアップについて考えてみると国内中堅の製薬企業に正社員として居続けるよりもコントラクトMRに転職した方が良い可能性があります。
これは大手のCSO自体、年収面でも国内中堅と比べて遜色がなくなってきていることもありますが、いろいろなプロジェクトが経験できることや会社としての成長性を考えていくとCSOの方が大きな将来性を感じます。
こんな人はコントラクトMRに転職すると輝ける!
これからの時代はキャリアアップの手段の一つとしてCSO企業への転職というのも珍しくなくなってくると思います。
そのぐらい、CSOにはいろいろな可能性があると思います。
ですから、これからコントラクトMRを検討する人の中で以下のような人にはCSO企業への転職をおすすめできます。
新薬メーカーで正社員を目指すジェネリックメーカーMR
新薬メーカーの採用募集では、応募条件として “新薬メーカーMR経験者”というのが多く、ジェネリックメーカーのMRから新薬メーカーに転職するのは困難です。
それでも新薬を担当したいというジェネリックメーカーMRのキャリアアップ戦略として、一度CSO企業に転職して経験を積んでから新薬メーカーに転職するという方法が良いと思います。
異業種で営業職の人やMSなど、MR未経験の人でMRとして働きたい人
2000年前後には高血圧や抗コレステロール薬、抗アレルギー薬などプライマリー領域の新薬が相次ぎ、外資系製薬会社を中心に多くの企業がMRを大幅に増員しました。
新卒も200名や300名というのはザラでしたが、MR未経験者も数百名から1000名近く採用した企業もあったくらいです。
いまではそんなに大幅増員する企業はほとんどありませんし、MR未経験者を採用する製薬企業も少なくなっています。
今は未経験からMRを目指すのなら、コントラクトMRで経験を積んでから製薬企業に転職するというキャリアアップ戦略が基本となっています。
ただし、今後は未経験からCSO企業に採用されるのは難しくなっていくと思います。
理由として、1つはここ数年で大手製薬企業のMRのリストラが活発化していることによって、MR経験者からCSOへの流入が増加していること。
もう1つは、バイオ医薬品や分子標的薬などに代表されるように製薬企業がCSOに求める需要も高度化・専門化しているため、よりMR経験者を優先的に採用する傾向が高まっているということです。
それゆえ、MR未経験でコントラクトMRを目指している方はできるだけ早く決断した方が良いですよ。
近年需要が高いオンコロジー領域MRを目指す人
特にプライマリー領域MRやGPしか担当したことがないMRの人は、オンコロジー領域MRの募集があっても内定を取るのは難しいのが現状です。
そのようなMRの方にとっては1度CSO企業でオンコロジー領域のプロジェクトを経験してから製薬メーカーのオンコロジー領域MRに転職するというのが最善の方法です。
CSOとしても需要が高いオンコロジー領域には注力している企業が多く、専門の研修が充実している会社もありますよ。
将来的に管理職や本社のマネジメント業務に携わりたい人
CSO企業は大手になると50社以上の製薬メーカーにMRを派遣しています。
そのため、CSO企業には製薬企業と比べても多くの本社機能が必要になってきますので、本社勤務を目指している人にとってCSO企業は狙い目ですよ。
具体的には、マーケティングやフィールドトレーナー、プロジェクトマネージャーなどの本社業務を目指すことが可能なようです。
また近年はエムスリーなど他の業態の会社からCSOに参入したり、MR以外にもさまざまなCSOを手掛る企業があったりしますので、それだけいろんなチャンスが期待できるのではないでしょうか。
まとめ
日本も欧米先進国と同様、今後数年でコントラクトMRは全MRの10~20%まで拡大し5000名を超えると予想されています。
コントラクトMRを経験した後のキャリア選択も豊富にありますので、製薬メーカーでMRやるよりもキャリアアップの選択肢が広がるかもしれませんね。
自分の将来のキャリアビジョンについてしっかり考えて拡大し続けるCSO業界に進みたいという人はコントラクトMRへの転職を考えてみても良いのではないでしょうか。
また、異業種の営業職の方でMRへの転職を考えている人は、未経験でも入社が可能な今のうちに少しでも早く転職を決断した方が良いですよ。
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