こんにちは。
現役MRのリョウタです。
アストラゼネカが2021年4月を目途に全ての支店や営業所を閉鎖します。
今年に入ってから支店や営業所を閉鎖する製薬企業が次々と現れていますが、この流れは止まらないどころか今後さらに加速していくでしょう。
そして、組織全体が縮小されると、MRだけが現状の人数で維持されるでしょうか。
MRの私たちはやはり注意しなければいけない局面に来ているのではないでしょうか。
アストラゼネカの支店・営業所廃止はリストラへの布石か
ノバルティスに続き、今度はアストラゼネカが支店・営業所を完全閉鎖することを発表しました。
今年の4月にノバルティスファーマが支店・営業所を完全閉鎖することを発表していましたから、大々的に支店・営業所を完全閉鎖することを発表したのは今年2社目になります。https://futuremrjob.com/eigyosyo-haishi
また完全廃止ではありませんが、2月にはアステラス製薬が支店廃止を発表しましたし、7月には日本ケミファが支店と営業所を減らすことを発表しています。
製薬業界は今年の3~6月くらいの間に在宅勤務になったことから、支店や営業所を閉鎖する会社が増えてくるだろうと予想しましたが、予想以上に早い動きになっています。
そして、新型コロナをきっかけにして支店や営業所の必要性が薄まったことを認識した会社はたくさんありますから、大手が先にやっているのをみて決断する会社が今後さらに増えてくるのは間違いない話です。
実際に60以上のオフィスを閉鎖するということは、そこで働く内勤職の方のほとんどは必要なくなってしまいますので、オフィスに通勤する必要がなくなるということを素直に喜べるものではないんでしょうね。
もともと支店も営業所も一切ないベンチャー系のメーカーにいるMRにとっては今さら感があるのも事実ですが、今からそれが閉鎖される会社の社員にとってみれば本当に死活問題です。
しかし、この流れが支店や営業所の廃止だけで終わればいいのですが、普通に考えてどうもそうではないですよね。
これがMRのさらなるリストラにつながるのかどうかということが気になります。
アストラゼネカの広報は、今回のオフィス廃止はワーク・ライフ・バランスを推進する働き方改革の一環であり、今回の拠点閉鎖をきっかけに人員削減するということは全くないと否定しています。
しかし、企業のこういったコメントを鵜呑みにするのはよくないと思います。
私は15年以上MRをやってきて、いろんな製薬メーカーの取材対応を見てきましたが、「まったくない」と否定した直後に実行しているケースを目の当たりにしたことは1度や2度ではありません。
他業種ではありますが、直近では野村証券が2019年6月に25支店の閉鎖を発表しましたが、理由は「多様化した顧客ニーズに応える」ということでした。
しかし、同じ年の12月に50歳以上の社員を対象に同社史上初の早期退職を発表しています。
アストラゼネカは現在1,600名前後のMRが在籍しており、大手の中でもMRは少なくありません。
ドル箱のクレストールの特許が切れ、2019年には国内での売上げが400億円のシムビコート、100億円のパルミコートが後発品化しましたし、2022年には売上げ1,000億円のネキシウムの特許が切れます。
アストラゼネカのパイプラインは非常に充実しており、オンコロジー領域の製品でこれらの売り上げ減をカバーすることは十分可能なのですが、ではMR数がプライマリー全盛の頃と同数必要かというと、そうではない可能性があります。
業績が順調な中外製薬やノバルティス、ファイザーなどが相次いでオンコロジーMRのリストラを行っていることからも、オンコロジー領域にそこまでの数は必要ないことがわかります。
野村証券が発表していましたが、25の店舗を閉鎖すると一時費用で25億円、さらに毎年14億円を削減することができるようです。
業界は違いますが、同じように駅前の一等地の中でも格の高いビルの最上階近くを支店や営業所にしている製薬会社でもこれと同等、もしくはそれ以上のコストを削減することができると思われます。
アストラゼネカは今回67のオフィスを全て廃止するのですから、単純計算で野村証券の2.5倍としても一時費用で75億円、毎年35億円をコストカットすることができる計算になります。
ITやデジタルツールの活用はどの企業も課題になっていましたし、そこに新型コロナが入ってきたことを考慮すると、営利企業にとってこれほど大きなコストを一気にカットするチャンスはもう巡ってこないんじゃないかというほどの大チャンスになります。
この大チャンスにMRを減らさないで維持するメリットはどこにあるのかと考えてみても、ちょっとわかりません。
外資系は特にそういう思考回路なのではないかと思いますので、アストラゼネカが今後何か別の理由をつけてでもリストラする可能性は高いと思います。
今後は他社にも波及するか
接待の禁止やノベルティ廃止など、やりにくいことを業界で先んじて実施してきたアストラゼネカが支店・営業所を廃止したことには意味があります。
これ以降、他社も追随しやすくなり、業界全体にこの流れが波及していく可能性がより高まったということですね。
自社ビルを持っていない会社が多い外資系はこの数年でほぼ支店や営業所を廃止するんじゃないかと思います。
外資系メーカーにとって日本のオフィスは固定費以外の何ものでもありませんから。
内資系は外資系に比べると一等地に無借金の自社ビルを持っていたり、オフィスの機能も外資系よりしっかりしているため、バランスシート上の観点からも即決する必要がなかったりするのではないでしょうか。
だから、内資系はとりあえず営業所の統合や数の削減で留まる会社も多いと思います。
外資系製薬メーカーの内勤職の方にとっては過酷な話になりましたが、先に支店や営業所を完全廃止したノバルティスやアストラゼネカが次にMRのリストラを発表したら、完全に「明日は我が身」です。
まとめ
他の記事でも書いていますが、もしも自分の会社で早期退職つまりリストラを発表したら、私は秒速で手上げしようと思ってます。
割増で退職金をもらえたら勤続年数が短かったとしてもけっこうな金額になりますし、投資の資金にするにはもってこいです。
たとえば、3,000万円の退職金を貰ったとして、年率平均4%で10年間運用したとすると約4,400万円、20年間運用したとすると約6,570万円になります。
金額うんぬんの話ではなく私が言いたいのは、「同じ金額なら分割して毎年もらうよりも、今すぐまとめてもらった方が価値が高い」ということです。
3,000万円を10年間分割してもらったとしたら年収で300万円ですので、さすがにこれでは生活に困るという方もいるかもしれませんが、希望退職が5,000万円や6,000万円だったとしたらいかがでしょうか。
最近のリストラでは、年収の60ヶ月分程度支給する会社も出てきています。
退職金で5,000万円もらったら、4%の資産運用で20年後には1億円を超えます。
ということは、MRにこだわらなくても別の仕事に挑戦することも選択肢に入ってくるのではないでしょうか。
もちろん、どうにかしてMRで転職するもよし、田舎や海外に移住して生活費を下げるもよしでたくさんの選択肢が拡がります。
年率4%というのはかなり分散した株式投資や債券などで安全に運用したとしても達成できる可能性の高い利率であり、現実味があります。
なので、私は自分の会社で希望退職が発表されないかと本気で期待しています。
ベンチャー系は人数が少ないので、ほとんど希望退職やったことないんですけどね・・・。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント
リョウタさんが予想した事は正解です
10/4月曜16:40〜17:15にて、プライマリーMR、オンコロジーMR、エリアマーケティング担うスペシャリスト約1600名対象に政策として、45歳以上かつ勤続3年以上の方、50名の早期退職募集の説明がありましたよ。10/25〜11月中旬までの募集で、50名必須でもないです。タチが悪いのは、挙手しても審査プロセスで承認が下りないと退職できない、つまり退職金の上乗せをして貰えないという云く付きです。マネージャーになりたく無いためMRしている、優秀なMRは却下されるのです。次の一斉リストラまで飼い殺しです。