MRのリストラ

武田薬品のリストラを機に製薬会社の適正なMR数を考えてみる

こんにちは。

現役MRのリョウタです。

国内のMR数は2013年をピークに減少を続けていることは周知のとおりです。

これからも年間でMRが増加することは考えにくく、減少を続けていくことはほぼ間違いないのではないかと思います。

そこで、先日の武田薬品のMRリストラ発表を機に、日本での1社あたりの適正なMR数について考えてみたいと思います。

効率よく経営ができているかということも重要なことですし、必要以上に販売管理費を使っている会社は「チャンスに強いがピンチに弱い会社」ということになります。

武田薬品のリストラまでの経緯

先日、武田薬品のMRを中心としたリストラが発表されました。

ご存知のとおり武田薬品は2018年にシャイアーの買収を発表して以来、有利子負債を縮小させるためにコア事業以外の資産を売却しまくるという戦略に出ています。

公表されている代表的な資産売却だけでもこのくらいあります。

旧東京本社買収はシャイアー買収を発表した2018年5月よりも半年ほど前の2017年12月ですが、この頃には買収について具体的に目途を立てていたと思われます。

【シャイアー買収後の武田薬品の資産売却歴】

・旧東京本社ビルの売却

・大阪本社ビルの売却

・ドライアイ治療薬シードラをノバルティスに売却

・中近東・アフリカの事業をスイスのアシノ社(Acino International AG)に一部売却

・ロシアの事業をロシアのシュターダ社(Stada Arzneimittel AG)に一部売却

・南米の事業をブラジルのハイペラファーマ社に一部売却

・欧州の事業をデンマークのオリファーム社に一部売却

・アジアの事業を韓国のセルトリオン社に一部売却

・一般用医薬品子会社の武田コンシューマー・ヘルスケアを米投資ファンドのブラック・ストーンに売却

これだけの資産を売却しても約5兆円の有利子負債を充分に圧縮させることはできておらず、無借金経営で国内屈指の超優良企業と言われていた頃とはほど遠い財務状態にあります。

このため、次にやることと言えば人件費の削減ということで今回のMR削減は想定の範囲内ではありました。

今回の武田薬品の早期退職プログラムでは募集人数は非公開とされていますが、噂によると300人以上とも言われていますので、かなり大規模な人数になりそうです。

MRの適正な数はどのくらい?

武田薬品の2020年時点のMR数は2,100人と言われていますので、仮に300名が退職すると1,800名まで減少します。

2019年度の武田薬品の国内の医療用医薬品売上高である7,191億円をMR数の1,800名で割ると、MR1人当たりの生産性は3億9950万円となります。

今回、国内で製薬企業のMR数は何名くらいが適正かを考えるため、武田薬品以外にも国内の医療用医薬品売上高をMR数で割った、MR1人当たりの生産性を調べました。

下記は内資系製薬企業トップ10のMR1人当たりの生産性です。

2019年MR1人当たりの生産性(大手)
会社名売上高(百万円MR数1人当たりの生産性(百万円)
武田薬品719,1611800(予)3.99
第一三共667,26021803.06
中外製薬514,16613803.73
アステラス製薬445,89417002.62
大塚製薬384,54613202.92
田辺三菱製薬348,36614002.49
小野薬品243,96510502.33
協和キリン214,85812301.75
エーザイ204,3408172.50
参天製薬182,2354003.72

さすが国内トップ10の会社だけあってどこも高いMR生産性があります。

この10社の数字を足して10で割って、国内大手企業の平均のMR1人当たり生産性を出してみましょう。

大手10社平均のMR1人当たり生産性=2.91億円

2020年現在の国内で平均的なMR1人当たりの生産性は2.91億円ということがわかりました。

つまり、今の日本ではMR1人当たり売上高3億円というのが適正なMR数ということになります。

ということは、売上高が300億円ならMRは100名、500億円なら167名、1,000億円なら333名というのが妥当なMR数になるんじゃないでしょうか。

大手にならって国内の製薬企業がみんなこの数字に近くなっていれば良いのですが。

では大手以外のMR1人当たり生産性を見てみたいと思います。

2019年MR1人当たりの生産性(大手以外)
会社名売上高(百万円)MR数1人当たりの生産性(百万円)
久光製薬140,9924703.00
旭化成133,3006701.99
日本新薬116,6376701.73
キョーリン製薬109,9837501.47
持田製薬101,7997401.38
科研製薬89,2327251.23
キッセイ薬品63,2346500.97
ゼリア新薬60,4262702.24
日本化薬47,7744001.19
鳥居薬品42,9983001.43

こちらの会社のMR1人当たりの生産性の算出に使用した売上高は、国内医療用医薬品のみの数字ではなく売上の総計です。

なので海外の売上高や一般用医薬品の売上高などが多くあればそれだけ有利な数字が出るはずですが、それでも大手10社と比べると低い傾向にあります。

ここに挙げた中堅では久光製薬のみが大手と同等のMR生産性があるということですね。

たとえばキッセイ薬品は昨年の売上が604億円、MR数が650名ですが、大手と同等の生産性にするのならMR数は200名程度で充分ということになります。

つまり、中堅の製薬会社は軒並みMR数が多過ぎるということであり、もっと少ない数で今の数字を売り上げる努力をするか、このMR数を雇うのであれば2倍、3倍の売上を上げないといけないということになります。

そのわりに内資系中堅は大手のように希望退職をやっている会社が少ないですが、なぜなんでしょうね。

内資中堅にこそ武田薬品のような大胆な経営改革が必要なのかもしれませんね。

まとめ

ひと昔前は「MR1人当たり1億の売上げ」が業界の基準でしたが、今はそれでは生き残っていけなくなってきているのではないでしょうか。

そもそも新型コロナでMRを減らしても売上げはほとんど落ちないし、MRにかける経費を考えるとむしろ減らすメリットの方が大きいことがわかりましたから、製薬企業は安心して生産性1MR当たり2.91億円を目指していけるはずです。

これからいろんな製薬企業がこういった議論を社内で展開し、リストラを進めてくる可能性は充分にあると思います。

希望退職がきたら応募したいMRの方は、今から心の準備をしておいた方が良いですよ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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