こんにちは。
現役MRのリョウタです。
2500名以上削減された2018年を上回る勢いで、2019年もリストラは続きました。
だからといって、これでおさまるとはとうてい思えません。
むしろ、本番はこれからって考えた方がしっくりくるんですよね。
なぜ2020年以降もMRが減らされていくかについて書いてみました。
目次
ここ最近のMRの減少具合は?

2019年もMRはかなり減少の予想
現役の皆さんならご存知かと思いますが、MR認定センターが毎年「MR白書」という調査書を公表しています。
それによると、国内全体のMR数は2013年の約65,000人をピークに翌年から5年連続で減少を続け、2018年には1年でなんと約2,500人減少して60,000人を割り込んだとの報告が出ています。
2019年度をまとめた2020年版のMR白書はまだ公表されていませんが、3,000人以上減少したとの予想も出ています。
ちなみに、日本でMRが2000名以上いる会社って、武田薬品、第一三共、アステラス製薬、ファイザーの4社しかなくなったんですね。
アステラス製薬、ファイザーが今年2,000名を切り、武田薬品も早期退職を発表したためおそらく2,000名を切ると思われます。のこるMR2,000名以上の会社は第一三共のみになりました。
昔はたくさんあったのに・・・。
話を戻すと、MRの大規模削減って、これで終わりでしょうか。
なんか違う感じしますよね。
なんでそう感じるのか。
なんか、MRガンガン減ってるけど、削減してるのって特定の数社だけなイメージなんですけど。
いやいや、そんなはずないでしょ~?
じゃあちょっと確認してみましょう。
MR減ってるのはまだ一部の会社だけ
直近の5年でMR数が大きく減った会社 | |
企業名 | 2019年 |
エーザイ | 1430名→1000名 |
ファイザー | 2600名→2200名 |
ブリストルマイヤーズ・スクイブ | 1150名→700名 |
MSD | 2200名→1900名 |
田辺三菱製薬 | 1850名→1540名 |
グラクソ・スミスクライン | 1800名→1500名 |
サノフィ | 1200名→900名 |
ちょっとざっくりとした表ですが、直近のだいたい5年くらいで300名以上MR数を減らした主な企業です。
だいたいこのあたりの会社が300名~400名減っています。
この辺の会社はけっこう早期退職がメディアで大きく取り上げられていましたし、積極的に営業部門を削減しているなって感じですね。
でも、直近でMRが大きく減ってるのって、このくらいなんですよ。
あとの大半の会社ってどうなってるかっていうと、ほとんど変わっていないか、むしろちょっと増えてる会社もあるくらい。
なんでかな~って考えてみたんですけど、上の表の会社には共通点がありました。
それは、主力の超ブロックバスターの特許切れやピークアウトですよ。
突出して売れる製品によって会社は大きく成長しますけど、ピークアウトすると悲惨なことになる代表例です。
大半の製薬会社はまだまだMR多過ぎ

でも、「ウチにはたいしたブロックバスターがないからこれかもMR減らしたりしないよな」とかいって安心するのは全然違うんじゃないかと思いますけどね。
薬価制度改革とか公正競争規約改定、ITの活用推進、フォーミュラリーなんかによって、今後長期的に考えるとMRを増やしていく要素なんて全くないです。
ここ数年MRが減ってきているのは上記のような理由が大きいにせよ、従来のSOVや拡大路線が終焉したってことには間違いがないですから。
表に出てこないような内資系の準大手~中堅の会社だって、人口減少フェーズに入る日本市場よりも拡大する海外市場を目指して、多くの会社が海外比率を高めようと必死に努力しているところです。
より海外に多くの資源を投入する必要がありますから、むしろ国内のMRを減らす会社が増えてくるのはこれからだということが予測できます。
その理由について2つほどあげてみます。
理由1.MR1人当たりの生産性
2018年の1MR当たりの生産性を見てみましょう。
まずは大手から。
2018年大手のMR1人当たりの生産性 | |
会社名 | 1人当たりの生産性(百万円) |
参天製薬 | 331.1 |
エーザイ | 258.9 |
中外製薬 | 246.5 |
第一三共 | 227.8 |
武田薬品 | 218.0 |
小野薬品 | 174.2 |
アステラス製薬 | 175.5 |
続いて中堅。
2018年中堅のMR1人当たりの生産性 | |
会社名 | 1人当たりの生産性(百万円) |
大正製薬HD | 118.3 |
杏林製薬 | 117.9 |
科研製薬 | 111.3 |
日本新薬 | 107.6 |
旭化成ファーマ | 89.2 |
キッセイ薬品 | 82.9 |
三和化学研究所 | 82.6 |
・・・かなりの差がありますね。
いや調べていて自分がびっくりしてしまいました。
1つの製品売るのにコスト掛け過ぎと言い換えることもできますね。
同業でこれだけ違うと、是正しなきゃいけなくなるときが来るはずです。
プライマリーバブル終わったことですし。
理由2.会社業績の推移
MRを減らさなくても、利益が順調に増えているなら株式会社として問題ないんですが、
これで利益も減ってきていたら株主からコストカットの圧力が高まるのは言うまでもありません。
ましてや、業界ベンチマークの大手企業が利益出してコストもちゃんとカットしてたらなおさらのこと。
それも先ほどの会社について表にまとめてみました。
MRが何人いても、最終的な純利益が伸びていれば問題ないと言えるので、ここでは純利益の推移について先ほどの会社を見ていきましょう。
こちらもまずは先ほど登場した大手から。
大手の純利益推移(億円) | |||||
会社名 | 2019年 | 増益率 | 2018年 | 増益率 | 2017年 |
参天製薬 | 320 | -11% | 352 | 62.2% | 217 |
エーザイ | 665 | 22.2% | 544 | 28.9% | 422 |
中外製薬 | 1576 | 69.3% | 931 | 26.7% | 735 |
第一三共 | 934 | 54.9% | 603 | 12.7% | 535 |
武田薬品 | 1090 | -41.7% | 1867 | 61.6% | 1155 |
小野薬品 | 620 | 2.1% | 607 | -17% | 723 |
アステラス製薬 | 2223 | 35% | 1647 | -32.8% | 2187 |
続いて先ほどの中堅。
中堅の純利益推移(億円) | |||||
会社名 | 2019年 | 増益率 | 2018年 | 増益率 | 2017年 |
大正製薬HD | 486 | 53.3% | 317 | 10.1% | 288 |
杏林製薬 | 68.7 | 4.6% | 65.7 | 11.3% | 73.1 |
科研製薬 | 178 | -6.7% | 190 | -15.8% | 220 |
日本新薬 | 163 | 25.4% | 130 | 11.1% | 117 |
旭化成ファーマ | 50.5 | -2.6% | 51.8 | -18% | 61.1 |
キッセイ薬品 | 54.8 | -61% | 90.5 | 17.1% | 77.3 |
三和化学研究所 | 5.4 | 168% | -3.2 | -132% | 10.1 |
どうでしょうか。
大手の方が業績もしっかり伸びていますね。
会社業績が思うように伸びていないのも、近い将来MRを減らさなければいけない可能性があることを示唆してますね。
まとめると、
・大手企業の方がMR1人当たりの生産性も高くて毎年しっかりと増益している。
・でもMRを削減し、コストを削減して先の成長を見据えている・・・。
こうなりませんでしょうか。
少なくとも私はこれらを表にまとめてみて、改めて「あ、中堅はこれからだな」と思いましたけど。
常に変化できるよう準備が必要

先のことは誰にもわかりません。
だけど、会社の先行きを楽観視できるような時代はとっくに終わっていますし、大手が中心になってMRの数を減らしているということは、まさにこれから中堅のMR削減が待っていると考えない方が不思議なくらいですよね。
MRで自分の会社の人事や経営を動かすことができる人はほとんどいないと思いますので、大事なのは会社に依存し過ぎないことです。
40代以降の中年MRだけでなく、30代や20代のMRの方まで「もし、自分がある程度の年齢になったとき会社に安心して勤められなくなっていたら?」ということについて考えておくことですよね。
海外では、同じ会社に何十年も所属している人の方が珍しいようですが、日本もやがてそれがあたりまえの間隔になるでしょう。
MRとして他の会社に必要とされるようなスキルを身につけることで、転職が可能になりますし、できればその他でも、お金を稼ぐことができるスキルを身につけていくのが理想ですよ。
MRとして定年近くまで働きたい!と思う人は、医師や病院薬剤師と同等かそれ以上の医学・薬学知識を身につければ、かなり高い確率で必要とされるでしょう。
なにも国家試験に合格するほどの幅広い知識が必要なわけではないんです。
自分が担当する薬剤に関連する疾患の限定的なところだけは、そこらの医師や薬剤師に教えられるくらいの知識があればいいんです。
MR認定試験の勉強をしてた時くらいの努力をもう一度すれば、かなり近いところまでいけそうじゃないですか?
でも、「そこまでは・・・」と思う人は、複数のことでお金を稼ぐことができるようになるしかありません。
変化に対応できる人間になれるよう、ともに頑張りましょう。
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